研究課題
尿路結石は、尿路結石になりやすい遺伝要因を持つヒトに、結石ができやすい環境があり、そこにきっかけが起こり形成されるという点に着目した。結石の初期形成時には、形成前の慢性の酸化ストレスが急激に亢進すると推察される。次の3つの観点から尿路結石の形成機序を解明し、診断法、予防法の開発につながる研究を行った。研究1. 尿路結石の初期形成時における酸化ストレス亢進機序の解明:腎尿細管培養細胞にシュウ酸カルシウム結晶とシュウ酸ナトリウムをそれぞれ添加し、経時的変化を観察した。ミトコンドリアを、TMRE染色色素(蛍光ミトコンドリア染色)を用いて染色し、酸化ストレスによる障害を検討した。ミトコンドリア膜透過孔の開口阻害剤(NIM811)を用いて、その機序を解明した。さらにミトコンドリア膜透過孔の重要因子であるcyclophilin Dノックアウトマウスを用いて、cyclophilin Dの抑制が結石を抑制することを明らかにした。研究2.尿路結石の形成前段階での慢性的な酸化ストレス発生機序の解明:ob/obマウスとwild typeマウスより、腎を摘出し、アディポサイトカイン(アディポネクチン、MCP-1、PAI-1等) の発現、酸化ストレス(SOD, MDA, 8-OHdG)の経日変化、尿中生化学物質の排泄量と結石形成への影響を詳細に検討した。さらに、ob/obマウスとwild typeで網羅的探索を行い、結石形成時には炎症関連遺伝子、マクロ関連遺伝子の発現変化が起こることを明らかにした。研究3:ヒトゲノム遺伝子を用いた遺伝子診断法の開発:ゲノムワイド解析から尿路結石患者に特徴的であると同定したSNPsを解析した。それぞれのSNPのリスクアレル数が高いと結石のリスク(オッズ比)が高いことを明らかにし、遺伝子診断法への道を拓いた。
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