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2012 年度 実施状況報告書

前立腺肥大症に対する新規分子標的治療法開発のためのKIT陽性間質細胞の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592376
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

佐々木 昌一  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50225869)

研究分担者 小島 祥敬  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
窪田 泰江  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381830)
高田 麻沙  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60468254)
郡 健二郎  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
キーワードKIT陽性細胞
研究概要

前立腺肥大症に対する薬物療法は前立腺平滑筋の過緊張を緩和させるα1受容体阻害剤および前立腺容量を縮小させる5α還元酵素阻害剤が主に用いられている。しかし、前立腺の収縮機構および増殖機構に関しては未だ詳細に解明されておらず、これらの解明が新規治療薬の開発につながると考えている。
消化管にはカハールの介在細胞が存在しており、消化管の自動運動の源であることがわかっている。この細胞は細胞膜にc-kit遺伝子によりコードされるKit(受容体型チロシンキナーゼ)を発現しており、細胞増殖にも関与していると言われている。近年、ヒト前立腺においても平滑筋の自発収縮が報告され、Kit陽性間質細胞が存在することから、前立腺肥大症の病態生理において、Kit陽性細胞が主要な役割を担っているのではないかと推察した。そこで本研究では前立腺におけるKit陽性細胞の役割を明らかにし、前立腺肥大症に対する新規分子標的治療の開発につなげたい。
昨年度は、、ヒトおよびモルモット前立腺においてKit陽性細胞を同定した。Kitに対する抑制因子であるメシル酸イマチニブの投与により、前立腺自動運動は濃度依存的に抑制されることを確認した。
当該年度には、前立腺における細胞増殖機構を解明するために、ヒト前立腺の培養細胞Prostate Stromal Cellsを培養し、KITに対する抑制因子であるメシル酸イマチニブおよびKITリガンドであるStem Cell Factor(SCF)を作用させ、MTT assayにより細胞増殖能の変化を検討し、Western blotting法により、KIT下流蛋白であるJAK2およびSTAT1の発現変化を解析した。KITリガンドはヒト前立腺培養細胞の細胞増殖能およびJAK2・STAT1の発現を亢進させ、一方、 KIT抑制因子はこれらを抑制することを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は以下の2項目を計画していた。①前立腺肥大症モデルラットの作成②前立腺における細胞増殖機構の解明。
①については、モデルラットを作成する技術を十分に習得することができ目的を達成できた。②についても、KITリガンドによりヒト前立腺培養細胞の細胞増殖能およびKITシグナル伝達系の下流蛋白であるJAK2・STAT1の発現を亢進することが確認できた。一方、 KIT抑制因子によりこれらを抑制することが確認できた。
以上より本研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

ヒト正常前立腺と前立腺肥大症におけるKIT陽性細胞の発現を比較するために、ヒト正常前立腺と前立腺肥大症の免疫組織染色を行い、KIT陽性細胞数/間質細胞数を比較する。また分子生物学的解析(RT-PCR、Western blotting)を用いることにより、ヒト正常前立腺と前立腺肥大症におけるKITの発現を比較する予定である。
またモデル動物の前立腺におけるKIT抑制因子の影響検討するため、Kitに対する抑制因子であるメシル酸イマチニブのモデル動物に対する作用を検討する。前立腺肥大症モデルラットにメシル酸イマチニブを投与し、増殖の変化を検討する。また、前立腺肥大症モデルラットを用い、コントロール群、メシル酸イマチニブ投与群を設定し、各群間で排尿記録のパターン、Kit陽性細胞の分布、平滑筋機能などを比較検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

【消耗品費】消耗品として実験動物を購入する費用が必要である。試薬類は、主にいわゆる分子生物学的解析(PCR、RT-PCR、ウエスタンブロット、免疫組織染色など)を行う際に使用する試薬のことを指す。他には前立腺の培養細胞および培養液の購入も必要となる。
【国内外旅費】学会発表については、日本泌尿器科学会総会、日本排尿機能学会、日本生理学学会、日本平滑筋学会等の国内学会やAmerican Urological Association annual meeting、International Continence Society等の国際学会に参加して、適宜研究成果を発表していく予定である。これらの学会発表に際し必要な旅費、滞在費および学会参加費の一部が必要である。
【謝 金】本研究を施行するに当たって、おもに実験動物管理または分子生物学的解析を行う研究助手を雇うため、一定の謝金が必要となる。
【その他】上記学会のために英文添削料や研究発表のための論文投稿料が必要である。また、実験動物の飼育費が必要となる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Regulation of cell proliferation through a KIT-mediated mechanism in benign2012

    • 著者名/発表者名
      Imura M, Kojima Y, Kubota Y, Hamakawa T,Yasui T, Sasaki S, Hayashi Y, Kohri K.
    • 雑誌名

      Prostate

      巻: 72 ページ: 1506-1513

    • DOI

      10.1002/pros.22500

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of cell proliferation through a KIT-mediated mechanism.2012

    • 著者名/発表者名
      Imura Makoto, Kojima Yoshiyuki, HamakawaTakashi, Okada Atsushi, Kubota Yasue, UmemotoYukihiro, Sasaki Shoichi, Hayashi Yutaro, Kohri Kenjiro
    • 学会等名
      American Urological Association Annual Meeting 2012
    • 発表場所
      アトランタ (アメリカ)
    • 年月日
      20120519-20120524
  • [学会発表] SCF/KITシグナル伝達系を介した前立腺肥大症増殖機構の解明2012

    • 著者名/発表者名
      井村 誠、小島 祥敬、濱川 隆、柴田 泰宏、早瀬 麻沙、窪田 泰江、佐々木 昌一、林 祐太郎、郡 健二郎
    • 学会等名
      第100回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      20120421-20120424

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公開日: 2014-07-24  

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