研究課題
前立腺におけるKit陽性細胞の役割を明らかにするため、以下の実験を行った。等尺性収縮法を用いてモルモット前立腺の自動運動を確認し、Kitに対する抑制因子であるメシル酸イマチニブを投与することで前立腺の自動運動が抑制されたこ。また、KitのリガンドであるSCFを投与することで自動運動はより活発化した。このことからKIT陽性細胞は前立腺自発収縮に関与していると考えられた。次にヒト前立腺細胞(Prostate Stromal Cells、Prostate Smooth Muscle CellsおよびProstate Epithelial Cells)を培養し、Kitに対する抑制因子であるイマチニブを作用させ、MTT assayにより細胞増殖能を検討し、Kit陽性細胞の前立腺における細胞増殖への関与を検討したところ、イマチニブの濃度依存的に増殖が抑制された。またこの細胞増殖において、SCF/KITシグナルの下流にはJAK2/STAT1を介する経が明らかにされた。さらに前立腺肥大症モデルラットを用いてコントロール群、イマチニブ投与群を設定し、各群間で排尿記録のパターン、Kit陽性細胞の分布、平滑筋機能などを比較検討をしたところ、イマニチブ投与群において前立腺重量の縮小はみたものの、排尿パターンには有意な差は見られなかった。これらの結果から、Kit陽性細胞は前立腺平滑筋の収縮ならびに増殖に関与することが、その活性を抑制することが前立腺肥大症に対する新しい薬理学的治療薬の開発につながると期待される。
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Urology
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