研究課題
研究の全体構想は長期腎移植生着の向上に寄与するための臨床研究である。特に長期生着を妨げる移植腎線維組織増生(いわゆる慢性移植腎症の組織像)に注目し、その臨床関連因子と患者の個体差を規定する因子である遺伝子多型を解析した。さらに、これまでの研究成果から、腎血流障害を生ずる免疫抑制薬(カルシニュリン阻害薬)の代謝酵素がない遺伝子多型では血中濃度が高くなり、線維増生と相関することを見出した。そこで、遺伝子多型解析を基にしたカルシニュリン初期投与量の個別設計が、腎移植線維増生を軽減するかも検討した。平成24年度から25年度にかけて、カルシニュリンの目標トラフ値を下げた同一の免疫抑制療法下では、移植腎線維組織増生に及ぼす臨床因子および遺伝子多型は認められないことを確認した。さらに、カルシニュリン代謝酵素の遺伝子多型を基にした個別投与量設計を開始し、その短期効果を解析したところ、非個別投与量設計下では遺伝子多型別にあった早期移植腎機能の差は消失した。これらの結果は国際移植学会等で発表し、現在論文作成中である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
日病薬誌
巻: 49 ページ: 1061-1065
今日の移植
巻: 26 ページ: 351-358
Ther Drug Monit
巻: 81 ページ: 308-312
Eur J Clin Pharmcol
巻: 69 ページ: 1659-1665
Hirosaki Med J
巻: 64 ページ: S19-S27
日本臨床腎移植学会雑誌
巻: 1 ページ: 78-81