研究概要 |
色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)は、ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair:NER)に異常をもち、日光紫外線による高頻度の皮膚癌発生と重篤な精神神経症状、さらに精巣発育不全を臨床症状としてもつ遺伝疾患である。我々は、A群色素性乾皮症遺伝子(Xpa遺伝子)を欠損したXpa遺伝子欠損マウス(Xpa マウス)がXP患者と同様に精子形成不全を示しXPの病態モデルとなることを明らかにした。我々は、Xpaマウス精巣の精巣幹細胞が、精巣変性状態[ゲノム不安定性]に適応かつ生存し、ゲノムの質は低下(DNA損傷を持ったまま)しても精子形成を継続できると考えている。これら精巣変性状態下の精子形成は、正常とは質的に異なる精巣幹細胞による可能性があり、以下の実験を行った。既に得た3,6,12ヶ月令 Xpaマウス精巣のアレイの結果を基に、種々のDNA修復系、checkpoint系、epigenetic関連、apoptosis関連等の遺伝子発現をReal time PCR及び免疫染色法等で確認を試みた。残念ながら、上記の方法でアレイの結果の再現性を確認できなかった。しかし、上記の実験過程でXpaマウスの精巣変性状態を詳細に解析したことから、精巣変性状態における精子形成継続の新たな病態を見いだせた。この病態解析を通じてXpaマウス精巣の病態解明が進むと考えている。
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