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2011 年度 実施状況報告書

アルコールはセルトリ細胞のオートファジーを増加させる

研究課題

研究課題/領域番号 23592386
研究機関大阪医科大学

研究代表者

EID Nabil A.S.  大阪医科大学, 医学部, 助教 (50570165)

研究分担者 大槻 勝紀  大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
伊藤 裕子  大阪医科大学, 医学部, 講師 (40148432)
神原 清人  大阪医科大学, 医学部, 講師 (40298758)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードアポトーシス / オートファジー / アルコール障害 / ミトファジー / 精巣 / セルトリ細胞 / 精細胞
研究概要

慢性アルコール中毒により精細胞はデスレセプターパスウェイによりアポトーシスで死ぬが、セルトリ細胞は空胞化を起こすのみで死ぬことはない。慢性アルコール中毒のセルトリ細胞はオートファジーを活性化することにより、生存しているのではないかと仮説をたて、実験を行った。Wistarラットに5%のエチルアルコールを加えたLiever-DeCarli liquid dietを12週間与えたのち、精巣を摘出しパラフィン包埋試料と透過型電子顕微鏡用試料を作製した。TUNEL法でアポトーシスを検討すると、精細胞にはアポトーシスが観察されたがセルトリ細胞では認められなかった。電顕観察で慢性アルコール中毒のセルトリ細胞の細胞質にはオートファジックバキュオールが多数観察された。また、オートファジックバキュオールの内容物の多くは変性したミトコンドリアであり、ミトファジーが起こっていると考えられた。オートファジーのマーカーであるLC3、オートファゴソームのマーカーLAMP2で免疫染色すると、慢性アルコール中毒のセルトリ細胞の細胞質に点状に多数のオートファジックバキュオールが観察された。電顕レベルの免疫染色でミトコンドリアを隔離したオートファゴソームにLC3が認められた。以上から、セルトリ細胞はアルコールによりダメージを受けたミトコンドリアをオートファジーで処理することで生存していることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

セルトリ細胞はアルコール障害を受けたミトコンドリアをオートファジーで排除することで、生存していることが確認でき、論文を発表している。

今後の研究の推進方策

42GPA9マウスのセルトリ細胞株を10% fetal bovine serum (FBS), 100 U/mL penicillin, and 100 μg/mL streptomycin含有のEagle mediumで5%CO2インキュベーターにて培養する。アルコールの直接的影響を検討するために3% FBS含有のダルベッコ緩衝液でエタノールを2.5, 5, 10, 25mMに希釈した溶液でそれぞれ24, 48, 72時間培養する。生存率はCell-Titer Blue Cell Viability Assay Kit (Promega)を用いて行う。Beclin-1, LC-3, LAMP-2でオートファジーの検索を、酸化ストレスマーカー8-OHdG, HNE、脂肪の同定はOil Red O染色で行う。オートファジー阻害実験:クルクミン、マンゴスチンの至適濃度はCell Viability Assayで決定する。エタノール添加培養によりオートファジーを誘導し、至適濃度のクルクミン、マンゴスチンを添加、オートファジー阻害効果の評価はBeclin-1, LC-3, LAMP-2抗体を用いたWestern blotで行う。Caspase活性測定によりオートファジーのシグナル伝達経路が推測された場合には、そのCaspase阻害剤を添加して確認する。急性アルコール障害ラットモデルを作製する。クルクミン、マンゴスチンをそれぞれ80mg/Kg ~160mg/Kgまでの濃度を振り分けて経口投与する。投与期間は経時的に8週までとする。治療効果およびオートファジーの評価はH.E染色、Beclin-1, LC-3, LAMP-2の組織学的、生化学的検索による。

次年度の研究費の使用計画

セルトリ細胞の培養に関わる試薬、オートファジーのマーカー抗体(Beclin-1, LC-3, LAMP-2)、細胞生存率検定キット(Cell-Titer Blue Cell Viability Assay Kit )、caspase活性測定キット、Western blotの試薬、クルクミン、マンゴスチンの購入に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Enhanced mitophagy in Sertoli cells of ethanol-treated rats: morphological evidence and clinical relevance2012

    • 著者名/発表者名
      Nabil Eid, Yuko Ito and Yoshinori Otsuki
    • 雑誌名

      Journal of Molecular Histology

      巻: Volume 43 ページ: 71-80

    • DOI

      0.1007/s10735-011-9372-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of inducible nitric oxide synthase in DNA fragmentation in various testicular germ cells of ethanol-treated rats2011

    • 著者名/発表者名
      Nabil Eid, Yuko Ito, Yoshinori Otsuki
    • 雑誌名

      Journal of Men's Health

      巻: Volume 8, Supplement 1 ページ: S36-S40

    • DOI

      10.1016/S1875-6867(11)60018-3

    • 査読あり
  • [学会発表] Ethanol-induced testicular germ cell apoptosis is associated with enhanced autophagy in Sertoli cells2011

    • 著者名/発表者名
      Nabil Eid, 伊藤裕子、大槻勝紀
    • 学会等名
      第43回日本臨床分子形態学会総会(招待講演)
    • 発表場所
      大阪医科大学
    • 年月日
      2011年9月10日

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公開日: 2013-07-10  

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