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2011 年度 実施状況報告書

ヒアルロン酸をキーワードに新たな早産予知と治療に挑む

研究課題

研究課題/領域番号 23592389
研究機関弘前大学

研究代表者

福山 麻美  弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (30536511)

研究分担者 田中 幹二  弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20311540)
柿崎 育子  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80302024)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードヒアルロン酸 / プロゲステロン / 切迫早産 / 4-methylumbelliferone
研究概要

本研究は、切迫早産の主因を絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis; CAM)におく立場とは異なった視点から、早産の予知・治療に取り組むものである。Key wordはヒアルロン酸(HA)である。HAはコラーゲンや他のグリコサミノグリカン(GAG)と共に子宮頸管の主要構成成分であるが、妊娠末期に他のGAGとは全く異なる挙動を示し、数時間のうちにそれ以前の10倍以上に急増しながら分娩終了と共に素早く元に復する。このHAの急増により子宮頸管は膨潤化され、コラーゲンによるネットワークが破壊されて頸管はどんどん軟化開大し急速に分娩に向かうことが知られている。従って、このHA合成を抑制できれば切迫早産を治療できる可能性がある。具体的には、早産予知マーカーとして子宮頸管分泌物中のプロゲステロン(P4)、切迫早産・子宮頸管無力症治療薬として4-methylumbelliferone(MU)の臨床応用の可能性について研究を進めている。本年度はヒト子宮頸管培養線維芽細胞を用いた実験で、(1)培地中のinterleukin (IL)-6、IL-8はlipopolysaccharide(LPS)添加により経時的に増加したが、P4添加により各々減少した。(2)Real-time PCR法でもP4の添加によりIL-6、IL-8の発現が抑制された。(3)Toll-like receptor(TLR)4の発現はLPSの添加により増強し、P4を添加することで抑制された。(4)MUはヒアルロン酸合成をほぼ完全に抑制する。以上のことが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プロゲステロン(P4)が、ヒト子宮頸管培養線維芽細胞において抗炎症作用を有することが示され、P4の低下が早産を惹起する可能性が示唆された。また4-methylumbelliferone(MU)もヒト子宮頸管培養線維芽細胞においてヒアルロン酸の合成を経時的に抑制することが確認できた。以上の結果から、in vitroにおいてP4の切迫早産治療薬としての可能性、MUの切迫早産・子宮頸管無力症治療薬としての可能性が示されたため、現在のところおおむね順調と考える。

今後の研究の推進方策

P4は、(1)子宮頸管の軟化、開大に主要な働きをするヒアルロン酸の分解を促進し、産生を抑制するほか、(2)COX-2をdown regulationすることで、子宮収縮作用をもつプロスタグランジン分解酵素活性を高めること、(3)頸管細胞中で頸管熟化に促進的に働くIL-8産生を抑えることも報告されている。こうしたことから、早産に至る患者では子宮におけるP4の活性が低下している可能性がある。そこで切迫早産患者と早産兆候のない対照群について、子宮頸管分泌液中のプロゲステロン濃度をELISA法により測定し比較検定することで、P4の早産予知マーカーとしての可能性を検討する。 ラビット早産モデルを作成し、この早産ラビットにMUを皮下投与・腟坐剤・経口投与の三経路で投与し、MU投与群、非投与群に分けて分娩までの時間を比較するとともに、MU投与の有無により子宮頸管にいかなる組織学的差異が生じているかについて病理学的に観察し、MUの早産抑制効果を検討する。

次年度の研究費の使用計画

ラビットを中心としたin vivoでの実験のため、MU等の試薬、ラビット購入や飼育料に約50万円を要し、その他は培養培地や血清類、試験管、遠心管、ピペットなどの消耗品、資料収集のための学会参加に要する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Anti-inflammatory effect of proteoglycan and progesterone on human uterine cervical fibroblasts2012

    • 著者名/発表者名
      Asami Fukuyama, Kanji Tanaka, Ikuko Kakizaki, Kosuke Kasai, Mitsuru Chiba, Toshiya Nakamura, Hideki Mizunuma
    • 雑誌名

      Life Sciences

      巻: 9;90(13-14) ページ: 484-8

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト子宮頸管線維芽細胞におけるプロテオグリカン及びプロゲステロンの抗炎症効果について2012

    • 著者名/発表者名
      福山麻美、田中幹二、柿崎育子、中村敏也、水沼英樹
    • 学会等名
      第7回臨床糖鎖研究会
    • 発表場所
      青森
    • 年月日
      2012-03-06
  • [学会発表] プロテオグリカン、プロゲステロンの抗炎症作用を利用した切迫早産治療に関する基礎的研究2011

    • 著者名/発表者名
      福山麻美、田中幹二、柿崎育子、中村敏也、水沼英樹
    • 学会等名
      第5回日本早産予防研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-12-03
  • [学会発表] プロテオグリカン、プロゲステロン併用による切迫早産治療に関する基礎研究2011

    • 著者名/発表者名
      福山麻美、田中幹二、水沼英樹
    • 学会等名
      第59回北日本産科婦人科学会
    • 発表場所
      秋田
    • 年月日
      2011-09-24
  • [学会発表] 切迫早産新規治療としてのプロテオグリカン、プロゲステロンの可能性に関する基礎研究2011

    • 著者名/発表者名
      福山麻美、田中幹二、水沼英樹
    • 学会等名
      第63回日本産科婦人科学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2011-08-29
  • [学会発表] Role of proteoglycan and progesterone as a new tool for treatment of preterlabor2011

    • 著者名/発表者名
      Asami Fukuyama, Kanji Tanaka, Megumi Yokota, Atsushi Fukui, Hideki Mizunuma
    • 学会等名
      31st Annual Meeting American Society Reproduction Immunology
    • 発表場所
      Salt Lake City, Utah, USA
    • 年月日
      2011-05-20

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公開日: 2013-07-10  

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