今年度は、本来、本研究課題『重症免疫不全マウスを用いた、ヒト卵巣凍結融解モデルマウス作成に関する検討』に対する初年度であるが、研究代表者の海外移動に伴い、初年度のみで研究課題を終了したため同時に最終年度となった。 今年は初年度であるので、卵巣凍結融解方法に対する情報収集をメインに活動した。受精着床学会、世界体外受精会議、産婦人科内視鏡学会、生殖医学会、産婦人科手術学会に順次参加し、卵巣の採取法、凍結法、またマウスに対する移植法などの検討、討議を行った。特に、世界体外受精会議では、従前からの研究テーマを含めて発表を行い、各国の参加者から貴重な提言を受けた。実験としては、新規の研究テーマであるので、ヒト卵巣を用いた本実験に入る前の予備実験として、現在一般的な卵巣凍結方法である、緩慢凍結法に使用する凍結装置のプログラムを、各種学会、論文での情報収集結果を踏まえて検討し、卵巣凍結用のプログラムを変更、設定した。また、培養液に関しても、多数の種類が存在するので、各種の溶液を確認し、最適な組成の検討を行った。対照実験として行う予定であるガラス化凍結法に関しては、当研究室においては、卵子、受精卵に対するガラス化法は行っており、既に実用段階であるが、卵巣組織に対するガラス化凍結法に関しては、完全に新規の方法となるため、卵巣凍結用のガラス化凍結法開発の基礎研究を行った。研究代表者の移動により、初年度で研究を終了したため、残念ながら、主たる目的の重症免疫不全マウスとヒト卵巣組織を用いた、卵巣凍結移植実験までは至らなかった。
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