研究課題
子宮内膜症は生殖年齢の女性に好発し、妊孕性低下、疼痛、卵巣嚢胞などの症状により女性のQOLを著しく低下させる疾患である。月経血の逆流が発症の必要条件とされているが、何が十分条件として作用しているかは不明である。我々のこれまでの研究科から、子宮内膜症では炎症性のサイトカインが上昇するなど、慢性の炎症性増殖性疾患として作用していることがわかってきた。また、免疫学的な観点からみると、本疾患はTh2優位の疾患としてとらえることができるとされている。事実、我々の検討でもTh2免疫が子宮内膜症の進展に関わることが示唆されている。そこで、本研究では子宮内膜症の慢性炎症の機序をアレルギー炎症の側面から検討した。昨年度、IL-1bが子宮内膜症間質細胞でTDOを増加させることを見出したが、これをさらに発展させて研究を継続した。この結果、IL-1bはTDOを介してkynurenine産生を増加させる一方、わずかではあるがtryptophanの濃度を低下させた。このことは、子宮内膜症ではTh2優位の環境となっていることを支持するデータである。本研究により子宮内膜症においてIL-1bが増加していることは、一部はTh2を介した進展を促進することにつながると考えられた。また、IL-1bによるIL-6,IL-8の増加がTDOsiRNAにより抑制される結果も得られた。TDOがIL-6,IL-8を介して子宮内膜症の進展に寄与しているメカニズムも推測された。
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