研究課題
トロンビンによって胎盤からのsFlt1分泌が亢進することを示した。すなわち、初代絨毛細胞培養系にトロンビンを添加し、sFlt1のmRNAの発現およびタンパク分泌が上昇することを示した。一方トロンビン添加はVEGFのmRNAの発現は増加させるがタンパク分泌は上昇させないことを示した。これはVEGFの分泌タンパクがsFlt1にトラップされ、freeVEGFの濃度が低下するためと考えられた。PlGFの分泌、mRNA発現には変化がなかった。またトロンビンのこれらの作用はPAR(1)受容体を介していることも示した。これらのことより、妊娠初期の胎盤における出血、血栓形成がsFlt1の分泌を増加させることで妊娠高血圧症候群を増悪させる因子の一つとなっている可能性が示唆された。また血清中sFlt1の濃度の測定により、妊娠高血圧症候群の早期診断を行う試みに関しては、前方視的調査を行い、血清サンプルの収集を終え、現在データ解析中である。
2: おおむね順調に進展している
研究は計画通りにすすんでいる。
絨毛細胞におけるsFlt1分泌制御に関しては、細胞内シグナル伝達系などの分析を行う。またマウスを用いた研究にて検証を行う。
細胞培養備品などの消耗品、およびマウスの管理費。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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