本研究は、胎児が嚥下する羊水と、新生児が摂取する母乳の両者に、分子集合体ミセルが存在するという共通点に着目し、超低出生体重児の初期管理に有用な経腸栄養剤の開発を目的に立案された。肺サーファクタントとヒト胎脂を用いて作成したSTAミセル溶液(特許第4378531号)と肺サーファクタントが形成するミセルに類似した構造を持つ金コロイドリポソームを用いて、動物実験を行った。STAミセル溶液は、ウサギ胎仔小腸に対して局所的に作用し、胎仔小腸を動物実験による手術侵襲から保護した。また、ラット新生仔の壊死性腸炎の発症を抑制した。本研究を進めることで、新たな視点に立った消化管の成熟促進法の確立が期待される。
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