研究課題/領域番号 |
23592399
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
田村 直顕 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90402370)
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研究分担者 |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
杉原 一廣 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00265878)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 着床 / 胎盤 / トロフォブラスト / 子宮 / トロフィニン / MUC1 |
研究概要 |
妊娠の成立とその維持には、胚側の因子のみならず、胚を受容する母体子宮の環境、胚と子宮の相互作用など着床、胎盤形成に関わる因子が重要である。局所的には、プロゲステロン、サイトカイン、成長因子、プロスタグランジン、接着分子が重要な役割を果たし、着床、胎盤形成が自律的に推進するように働いていることが分かっている。我々は、接着分子トロフィニン、MUC1に着目し、その機能を分子レベルで解明して、ヒトの着床現象の一端を明らかにすることを目的としている。平成23年度には、子宮内膜においてトロフィニンをより安定的に発現させるために、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)のみならず、エストラジオール、プロゲステロン付加も必要であることを明らかにした。また、細胞表面の糖鎖構造の一つであるMECA79を発現した子宮内膜上皮細胞でトロフィニンの発現が減少することも明らかにした。糖鎖構造と膜タンパクの発現制御の関係はいまだ不明な点が多いが、今後は、より安定したトロフィニンの発現誘導系を応用して解析を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、子宮内膜上皮細胞における安定的なトロフィニンの発現系を確立するために、従来のhCG刺激に加えて、エストラジオール、プロゲステロン、インターロイキン8などの刺激下での発現誘導モデルについて検討し、至適条件を確立を目指した。また、同時に、MUC1やMECA79などの糖衣関連因子の発現も検討し、トロフィニンの発現とMUC1、MECA79の発現は相反する点があることが明らかになったことから、基本的は実験系は確立され得た。平成24年度には、現在までに確立した系で解析を行う準備が整った状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究成果より、子宮内膜上皮細胞において安定的にトロフィニンを発現誘導するためには、hCGのみならず、至適濃度のエストラジオール、プロゲステロンを付加するひつようがあることが明らかになり、安定した実験系を用いた解析が可能となった。また、MECA79などの糖鎖発現とトロフィニンの発現に相反的な制御機構が存在する可能性が示唆された。平成24年度は、これらの系を応用し、定量的PCR法やsiRNAライブラリースクリーニングなどの手法を用いて発現制御機構の同定を目指す予定である。また、同時にヒト子宮組織における胚因子の作用、トロフィニンの発現についての解析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養系、遺伝子及びタンパク実験のための試薬などの消耗品購入費用、情報収集のための学会出張用費用、論文投稿費用などに研究費を使用する予定である。
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