マサチューセッツ大学にて行っていた研究を滋賀医科大学にて再現することができた。まず、成人マウス卵巣の培養を方法を再現した。37度、5%CO2下に3日間培養を行ったが、過去の報告と同様にin vitro下では休眠していた原始卵胞の活性化が早まり原始卵胞の割合が減っていることがわかった。予定通り日齢4日マウス卵巣を用い培養を開始した。培養液中へ各種濃度のアクチビンAの投与を行い、3日間培養したが、投与群と非投与群間で原始卵胞数、一次卵胞数、2次卵胞数に差を認めなかった。同様に成人サルの卵巣を3検体得ることができたので同様の実験を行なったが、有意差を認めなかった。我々が、報告してきたアクチビンアンタゴニストであるフォリスタチン(3種類ある2つを遺伝子改変でknock out)遺伝子改変マウスとは異なる結果であった(Endocrinology 2011 Kimura et al)。アクチビンの投与では卵巣内アクチビンアンタゴニストの出現により卵巣内にアクチビンの効果が及ばないと考えた。そこで日齢4日マウス卵巣に黄体ホルモンのノルエチステロンを100ng/mlとなるよう添加し3日間培養したところ、原始/一次卵胞数は非添加群より増加しており、さらに卵巣全体のアクチビンAのmRNAが減少していることがRT-PCRでわかった。以上より方針をかえ16週齢のマウスに黄体ホルモン剤でありそのプロゲステロン受容体への親和性が高いジエノゲストを64日間投与下した。その後同週齢のオスマウスと交配させ2ヶ月間分娩しなくなるまで交配した。ジエノゲスト投与群において、1回あたりの平均仔数、総仔数が多く、また最終分娩年齢も遅い傾向であった。現在この研究は、マウス数を増加し検証しており、また、64日間投与後のマウスから、投与終了直後、3ヶ月、6ヶ月後に卵巣を切除し、原始卵胞数の変化を比較する実験を行っている。
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