研究課題/領域番号 |
23592408
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 佳克 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30254288)
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研究分担者 |
山本 珠生 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20405210)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 妊婦 / 高血圧 / 血管内皮機能 / 発症予知 / 発症予防 |
研究概要 |
妊娠高血圧症候群 (PIH) は、血管内皮機能障害が主病態である。本研究は、臨床現場fで病態の重症化の研究、血管内皮機能異常の改善による治療や予防を研究目的とする。名古屋市立西部医療センターにおいて同意の得られたPIHハイリスク妊婦 (40才以上、BMI>27、高血圧、糖尿病、抗リン脂質症候群など合併症のあるもの、PIH既往、初診時の血圧が高いものなど) で、%FMDが低値の場合は、血管内皮機能低下群であり、重症PIHの発症率が高い。葉酸0.4mg+L-アルギニン1g/日を投与により、血管内皮機能は改善し、PIH発症予防する。PIH重症型である子癇は、妊娠末期から分娩産褥の発症が多い。高血圧が発症直前に重症化するものと、重症PEから子癇に発展するものがある。 前者は分娩の変化が関与すると推察される。 後者は重症PEに伴う循環障害や凝固障害が関与し、脳出血による妊婦死亡に至ることもある。子癇の病態は、高血圧による脳血管血流の自動調節能破綻による。 当センターで昨年5月より5例の子癇があり、4例がPEから発展したものである。PE妊婦で子癇に至らなかった4例と比較検討してみると子癇妊婦では、その病態形成に高血圧の重症度(160/110mmHg)も重要であるが、血圧の変動(30/15mmHg以上)がより重要であることが明らかとなった。 妊娠健診で一時的な軽症高血圧にしばしば遭遇する。家庭血圧(HBP)の測定や24時間血圧測定(ABPM)測定は、白衣高血圧の鑑別に用いられる。PIHハイリスク妊婦、軽症高血圧妊婦やPE妊婦においてABPM測定を行った。PIH妊婦では、拡張期血圧が高く、夜間高血圧を認めた。妊婦では、ABPMは%FMDと同様にハイリスク妊娠の予知、診断に有用と考えられる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.葉酸とL-アルギニンサプリメントの有用性の検討:PIHハイリスク妊婦を対象としたPIH発症予知とL-アルギニン+葉酸による予防の検討は、当センターは2011年5月開院した。2011年7月に本研究は倫理委員会承認された。現在、血管内皮機能測定として%FMD測定機器整備と臨床現場での診療体制がほぼ整い、データ集積中である。エントリーを投与群、非投与群を合わせて100例を目標としているが、本年4月より対象者を増やしてゆく予定である。血液検査も準備がほぼ整い、採取、検査が出来るように進めている。2.PIH重症化に関する研究:当センターで昨年5月より5例の子癇があり、4例がPEから発展したものである。PE妊婦で子癇に至らなかった4例と比較検討し、論文を作成中である。3.臨床現場での血圧測定の検討:新たにABPM測定を開始した。PIH妊婦にけるABPMを測定した。ハイリスク妊婦においてABPMを測定し、PIHの発症や分娩時高血圧の発症予知を行ってゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
PIHハイリスク妊婦を対象とした%FMDによるPIH発症予知について検討をすすめる。新たにABPM測定による血圧の変化の観察を行い、%FMDと同様に血管内皮機能の評価とPIH発症予知(白衣高血圧との鑑別)に用いる。L-アルギニン+葉酸による血管内皮機能改善効果とPIH発症予防の有用性の検討を進める。当初、本年度から予定していた妊婦の抵抗血管を用いたin vitroの研究は、現状では倫理委員会の承認が容易ではなく、モデル動物実験の結果などを行い、その結果から推察されることでunderlying mechanismの研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
以下の項目での研究費の使用を予定している葉酸とL-アルギニンサプリメントの有用性の検討では、・LアルギニンとしてアルギUと葉酸の購入・赤血球中L-アルギニンと葉酸の測定(コマーシャルラボ)・血清中Soluble VEGF1receptor、placenta growth factor(PLGF)測定キットの購入臨床現場での血圧測定の検討では・家庭血圧用血圧手帳の作成・ABPM測定解析システムのバージョンアップ
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