研究課題/領域番号 |
23592408
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 佳克 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30254288)
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研究分担者 |
山本 珠生 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20405210)
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キーワード | 妊婦 / 高血圧 / 血管内皮機能 / 発症予知 / 発症予防 |
研究概要 |
妊娠高血圧症候群 (PIH)、その関連疾患であるHELLP症候群、脳出血は妊婦と児の生命に重篤な影響を及ぼす。これまでの研究において、その病態の中心は血管内皮機能の異常であると考えられる。名古屋市立西部医療センター産婦人科ハイリスク外来においてPIHハイリスクやPIH妊婦に対して、血管内皮機能異常の発生に着目し、血管内皮機能異常の改善とPIH発症予防を行った。 ハイリスク妊婦の選択は、高年齢、妊娠高血圧症候群の既往歴などの妊婦に対して、血管内皮機能を評価して行った。血管内皮機能は上腕動脈のflow mediate vasodilatation (%FMD) を用いた。外来診察時血圧が140/90mmHg以上の妊婦に24時間自由行動下血圧測定 (24h ABPM) を行い、高血圧と白衣高血圧の鑑別を行った。また、血圧手帳を作成し、家庭血圧の記録も行った。 ハイリスク妊婦に対して、L-アルギニンと葉酸の投与によるPIH発症予防を行った。高血圧患者には降圧剤投与を行った。血管内皮機能の評価として%FMDにてその変化を観察し、血圧のコントロールは24h ABPMを用いた。 PIH発症ハイリスク妊婦に対するL-アルギニンと葉酸の投与による介入は、血管内皮機能異常を改善し、重症PIH発症を抑制出来る可能性が示唆された。また、高血圧患者において24h ABPMによる血圧の日内変動は適切な降圧剤投与の指標となり得ることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
L-アルギニンと葉酸の投与は、%FMDを改善し、重症PIHまたは妊娠高血圧腎症の発症予防に有用であると考えられる。 24h ABPMは、降圧剤投与時間の設定の指標となり得る。 重症高血圧と脳血管障害の発症に関する検討を、子癇発症妊婦、重症高血圧妊婦の血圧変動の観察から、これらの病態の形成には血圧の重症度のみでなく、血圧の変動幅が大きく、血圧の調節能も重要であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
L-アルギニンと葉酸の投与は、例数を重ね検討を進める。 24h ABPMは、降圧剤投与時間の設定の指標とするとともに、降圧剤投与の効果判定の検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
・アルギU購入、葉酸購入 ・赤血球中L-アルギニン測定、葉酸濃度測定
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