研究課題/領域番号 |
23592410
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
大井 豪一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10283368)
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研究分担者 |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
野口 武俊 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10464661)
常見 泰平 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20599831)
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キーワード | 胎便 / 羊水 |
研究概要 |
前年度までに、羊水が分娩時に母体血中に流入していることを、羊水特異マーカーであるsquamous cell carcinoma antigen (SCC)の、母体分娩周辺期における継時的採血結果より証明した。 羊水混濁症例と清澄羊水症例の分娩後出血量の違いに関して:羊水混濁30例と清澄羊水102例の2群間において、分娩時出血量に差があるかを統計学的な解析(chi-square test)をすることにより検討した。分娩後、2時間以内の出血量が500ml以上であった症例を異常出血と定義すると、羊水混濁例は、有意差をもって清澄羊水例に比較し異常出血が多かった。(p=0.01)この結果より、胎便が母体血中に流入することにより、分娩時出血量が増加する可能性が示唆された。 羊水混濁症例の分娩周辺期における母体血中STN値の推移:胎便が、母体血中に流入した場合、胎便中に多く含まれるムチンの母核構造を認識するSialyl Tn (STN)値が理論上、母体血中において高値となるはずである。また、混濁羊水中にも高濃度のSTNが含まれているため、母体血中のSTN値の分娩周辺期の推移を観察すれば、胎便の流入したという事実を生化学的に証明できると考えたため、羊水混濁を認めた13症例の母体血中STN値を分娩前後で比較検討した結果、母体血中STN値が分娩後に分娩前より上昇した症例は、13例中1例のみであった。この1例は、混濁3度であったことより、高度の混濁羊水が大量に流入しなければ、母体血中の分娩前後におけるSTN値の変動を認めない可能性が示唆された。 10%胎便中の酵素活性:TIMP1=7.3ng/ml, TIMP2=0.1ng/mlであった。TIMP1は存在するもTIMP2は存在しない結果となった。この他、IL-1βも存在しなかったが、IGFBP-1は4.1ng/ml存在した。
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