研究課題
ヘパリンはこれまでに抗リン脂質抗体症候群などの凝固異常を合併した妊婦や習慣性流産や子宮内発育遅延などの産科合併症症例に対して投与が行われ一定の効果を示してきた。また明らかな凝固異常がない習慣性流産の症例にヘパリンが投与されその臨床効果も報告されている。そのためそのヘパリンの作用機序は現在一般的に知られている抗凝固作用以外にも、抗炎症作用や免疫制御作用等が想定されている。また近年のデータでは反復着床不全例に対して黄体期にヘパリンを投与する事により着床率の上昇さらには生産率の上昇が報告されている。本研究ではヘパリンの脱落膜化細胞への直接的作用を培養細胞にて検討し、着床不全症例に対する有効性に関して基礎的に証明を行い、さらにはその細胞内メカニズムを明らかにする事により、これまで経験学的に使用されていた着床不全症例に対するヘパリン投与に関してその分子生物学的メカニズムを明らかとし、これまで経験学的に行われてきたこの治療に対して科学的根拠を持たせる事を目的とした。本研究によりヘパリンを添加する事により子宮内膜脱落膜化細胞はFOXO1⇒SOD2の発現を促進する事により、酸化ストレス抵抗性を増強する事が明らかとなった。このことはヘパリンが子宮内膜の酸化ストレス抵抗性を増強する事により着床に有利に作用している可能性が示唆された。
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