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2012 年度 実施状況報告書

子宮腔内液性因子に注目した着床不全の病態解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23592413
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

井上 治  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10464976)

研究分担者 浜谷 敏生  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265882)
キーワードCD9 / 子宮内腔 / 子宮内膜 / 液性因子 / MMP / 不妊症 / 着床不全 / 炎症
研究概要

本研究では、着床期に子宮内腔に存在する液性因子に注目して、子宮の着床能評価および着床不全メカニズムの解明を試みた。
これまでに、ヒト子宮内腔洗浄液中のMMP2、 MMP9の濃度・活性が子宮内膜炎のマーカーとして有用であることが明らかとなっている。そこで、MMP活性の高い症例に対して抗生剤とプレドニゾロンを投与し、MMP活性の低下(消炎効果)がその後の胚移植における妊娠率と相関するか検討した。
次に、CD9について検討した。免疫組織化学により、マウス子宮内膜におけるCD9 の発現パターンを明らかにし、子宮内腔洗浄液を用いたウェスタンブロットでは、マウスおよびヒトで着床期の子宮内腔にCD9 が存在することが明らかとなった。ヒト子宮内腔洗浄液中のCD9陽性率を検討したところ、不妊初診患者(コントロール)(56例)と反復着床不全例(70例)を比較すると、反復着床不全例で有意に減少していた。また、不妊初診時にCD9陽性(29例)の方が陰性(27例)に比べて、その後妊娠する率が高い傾向が認められた。一方、子宮内容掻爬術の既往がある症例(25例)でも、無い例(34例)に比べて、有意に減少していた。さらに、内膜菲薄例(15例)でも、内膜正常例(51例)に比べて、有意に減少を認めた。以上の結果から、子宮内腔におけるCD9の存在が着床あるいは妊娠率に重要な役割があることが示唆された。
一方、CD9ノックアウトマウス(♀)との交配では、2回目以降の妊娠で産仔数が有意に減少することが明らかとなった。マウスモデルを用いて、着床および着床周辺期胚発生において子宮内膜および子宮内腔のCD9とVEGFが果たす役割について検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究結果から、ヒトおよびマウスの着床あるいは着床周辺期胚発生に、子宮内腔におけるCD9の存在が重要であることが示唆されており、有意義な研究成果が得られつつある。
また、ヒト子宮内腔洗浄液中のMMP2/MMP9は、実際に臨床の場で、子宮内膜炎のマーカーとして有用であり、治療評価にも応用が可能であることが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

ヒト子宮内腔洗浄液中のCD9陽性率について、さらに症例数を増やして検討する。
また、マウス子宮におけるCD9の発現を詳細に検討し、CD9ノックアウトマウスを用いて、2回目以降の妊娠において、子宮内膜および子宮内腔のCD9の意義について、特にVEGFとの関連に注目して検討する。

次年度の研究費の使用計画

マウス、CD9ノックアウトマウスの購入
液性因子の測定
学会参加等を予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Human spermatozoal RNAs.2012

    • 著者名/発表者名
      Hamatani T.
    • 雑誌名

      Fertil Steril

      巻: 97 ページ: 275-281

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ART妊娠児の長期予後研究2012

    • 著者名/発表者名
      久慈直昭, 山田満稔, 井上治, 福永朝子, 小川誠司, 菅原かな, 奥村典子, 浜谷敏生, 吉村泰典.
    • 雑誌名

      周産期医学

      巻: 42 ページ: 991-1000

  • [学会発表] 若年性子宮体癌/複雑型子宮内膜異型増殖症に対する妊孕性温存療法後の生殖医療に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      井上治,浜谷敏生,進伸幸,山上亘,阪埜浩司,内田浩,丸山哲夫,久慈直昭,末岡浩,青木大輔,吉村泰典.
    • 学会等名
      第57回日本生殖医学会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      20121108-20121109
  • [学会発表] 着床前期胚発生に関わる新規遺伝子Zfpiの発現解析.

    • 著者名/発表者名
      小川誠司, 浜谷敏生, 阿久津英憲, 山田満稔, 奥村典子, 菅原かな, 井上治, 福永朝子, 梅澤明弘, 久慈直昭, 青木大輔, 吉村泰典.
    • 学会等名
      第64回日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] 着床前期初期から発現し多分化能細胞に特異的に発現する新規転写因子Kzpiの機能解析

    • 著者名/発表者名
      浜谷敏生, 山田満稔, 阿久津英憲, 小川誠司, 菅原かな, 奥村典子, 福永朝子, 井上治, 梅澤明弘, 久慈直昭, 青木大輔, 吉村泰典
    • 学会等名
      第64回日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      大阪

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公開日: 2014-07-24  

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