研究概要 |
マトリクス細胞蛋白の羊膜における発現の検討【目的】本研究では,羊膜における細胞外マトリクス蛋白の一種であり,組織修復や細胞増殖・分化制御を担うマトリクス細胞蛋白の発現,機能について検討することで,妊娠恒常性維持機構における羊膜の役割を究明することを目的とする.平成23年度では,羊膜におけるマトリクス細胞蛋白の発現について,妊娠に伴う経時的変化を含めて解析検討した.【方法】妊娠中期羊膜(18-23週)および妊娠後期羊膜(37-39週)から羊膜上皮細胞を単層初代培養し,マトリクス細胞蛋白であるsecreted protein, acidic and rich in cysteine(SPARC), Thrombospondin1(TSP1), TSP2, Tenascin-C(TNC)のmRNAの発現について,TaqMan realtime RT-PCR法により検討した.【結果】SPARC mRNAの発現は,妊娠中期から後期にかけて,約40%の低下傾向を示した.一方で,TSP1の発現は妊娠後期が中期の約3倍と増加していた.TSP2,TNCについては明らかな変化を認めなかった.【結論】妊娠中期から後期に向かって,羊膜上皮細胞におけるSPARC mRNAが減少し,TSP1 mRNAは増加するといったマトリクス細胞蛋白発現の変化が認められた.この妊娠による経時的な発現変化は,羊膜における細胞外マトリクス構築に影響を与えている可能性が考えられた.
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