研究課題/領域番号 |
23592414
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
峰岸 一宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30276331)
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キーワード | matricellular protein / amnion / prostaglandin |
研究概要 |
【目的】本研究では,羊膜における細胞外マトリクス蛋白の一種であり,組織修復や細胞増殖・分化制御を担うマトリクス細胞蛋白について検討することで,妊娠恒常性維持機構における羊膜の役割を究明することを目的とする.近年,生理活性物質であるプロスタグランジンが子宮収縮や陣痛に関連し,分娩発来機構で重要な役割を担うとされ,また,プロスタグランジンE2が細胞外マトリクス中のフィブロネクチンの軟化を即すことが示されている(Tamba et al., PNAS, 2008).平成24年度では,プロスタグランジンの合成酵素の羊膜における発現について,妊娠に伴う経時的変化を含めて解析検討した. 【方法】妊娠中期羊膜(18-23週)および妊娠後期羊膜(37-39週)から羊膜上皮細胞を単層初代培養し,プロスタグランジン合成酵素であるprostaglandin endoperoxide synthase1 (cyclooxygenase1: COX1),prostaglandin endoperoxide synthase2 (cyclooxygenase2: COX2),prostaglandin E synthase (PTGES)1,PTGES2,PTGES3のmRNAの発現について,TaqMan realtime RT-PCR法により検討した. 【結果】プロスタグランジン合成酵素のうち,COX2 mRNAのみが妊娠中期から後期にかけて,約2倍の増加を示した.一方で,COX1,PTGES1,PTGES2,PTGES3については明らかな変化を認めなかった. 【結論】妊娠中期から後期に向かって,妊娠羊膜上皮細胞におけるCOX2 mRNAのみが増加した.この妊娠による経時的な発現変化は,COX2を介するプロスタグランジン合成が分娩発来に向けて羊膜に影響を与えている可能性が考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究実験の基盤となる羊膜上皮細胞および間葉細胞の単層初代培養における細胞,組織増殖にいまだに偏りがあり不安定であるため,当初の予定の実験が終わらなかった.
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今後の研究の推進方策 |
羊膜上皮細胞の初代培養法の改良に加え,flow cytometryを用いた上皮細胞分離による実験を平行して行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は,効率的な物品調達を行い研究をすすめたものの,基盤となる培養系がいまだ安定せず当初の実験計画より遅れが生じた結果である.当初の実験計画を一部変更し,この未使用額を次年度に繰り越して消耗品購入に充てる予定である.
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