研究課題/領域番号 |
23592416
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30273189)
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研究分担者 |
田中 利隆 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30407283)
牧野 真太郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70570894)
依藤 崇志 順天堂大学, 医学部, 助教 (10597058)
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キーワード | CD44 / 絨毛細胞 / シグナル伝達 / 再生 |
研究概要 |
胎児発育遅延の主なる原因として胎盤絨毛細胞障害があるが、妊娠中の自己修復過程の制御機構については知見が乏しい。合胞体栄養細胞は絨毛間腔を形成し、細胞膜表面にはへパラン硫酸/へパリンといった陰性荷電を有する糖鎖が豊富に存在している。へパラン硫酸/へパリンはその受容体であるCD44および各種増殖因子受容体を介しPAK、Stat3、Aktといった細胞内シグナル伝達系分子により細胞遊走を促し、創傷治癒にかかわると考えられる。しかしながら、絨毛細胞障害とその自己修復をどのように調整制御しているのか、また、さらには絨毛細胞自身が局所でどのような他の調節機序、過程を経て自己修復するのかについては十分明らかとななってきていない。母体血と直接接し栄養ガス交換に関与する障害を受けた胎盤絨毛細胞の自律的修復の制御機構、並びにその修復障害について受容体-細胞内シグナル伝達系の異常に注目し、その機序について検討を行った。胎盤由来ヒト不死化細胞TCL-1細胞を用いて、in vitro scratch assay、Western blot (WB)法によるヘパリン誘発PAK1リン酸化の検討、Lipofectamine法によるsiRNA CD44によるヘパリン誘発PAK1リン酸化の抑制により、 heparin/HS存在下で閉創率の有意な上昇、抗ヒトCD44多クローン抗体またはsiRNA CD44存在下閉創率の有意な低下、 Heparin/HS並びscratch によるPAK1リン酸化(Ser199/204およびThr423)、抗CD44v3抗体存在下でヘパリン誘発PAK1リン酸化(Thr423)の抑制、siRNA CD44感染TCL-1細胞のCD44発現抑制を観察した。 絨毛細胞がheparin/HSにより他の増殖因子のシグナリングを直接的には介さず、CD44v3を介して細胞移動を促進し組織修復を行うことを示した。
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