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2012 年度 実施状況報告書

細胞外基質Fibulin‐1の解析による着床障害の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592425
研究機関関西医科大学

研究代表者

岡田 英孝  関西医科大学, 医学部, 講師 (80330182)

キーワード生殖医学 / 子宮内膜 / 脱落膜化 / 性ステロイドホルモン
研究概要

近年の生殖補助医療における凍結融解胚移植周期治療の経験から、時宜を得たエストロゲンおよびプロゲステロンの補充が着床率の向上に重要であることが示されている。このような背景のもと、子宮内膜機能調節を理解するためには、性ステロイドホルモンに制御される標的遺伝子の解析が重要となる。マイクロアレイ法を用いてヒト子宮内膜細胞でプロゲステロンにより制御される遺伝子の発現動態を網羅的に検討した。その成果として、Fibulin-1という細胞外基質タンパクがプロゲステロンで早期に誘導されることを見出した。ヒト子宮内膜でFibulin-1がどのように制御されているかを検討し、そこに関連する因子を同定するのを目的とした。ヒト子宮内膜組織を機械的および酵素的に融解して、培養ヒト子宮内膜間質細胞を分離培養し分子生物学的機能解析を行った。これらの細胞におけるFibulin-1 mRNA発現は、プロゲスチンの時間依存的に誘導されており、添加培養3日目には既に有意な増加をみとめた。プロゲステロンで誘導されるFibulin-1を強制的に抑制した細胞を作成して、これらの細胞で子宮内膜を調節する重要な因子であるVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)とSDF-1(stromal cell-derived factor 1)の発現変化を検討した。培養後の細胞からRNAを抽出・精製し、cDNAを作成してリアルタイムPCR法を用いこれら因子の発現変化の時間的・空間的に検討した。プロゲステロンで誘導されるFibulin-1は、局所因子であるVEGFとSDF-1発現変化に影響を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト子宮内膜でFibulin-1が子宮内膜局所因子によりどのように制御されているかを細胞・分子生物学的に検討し、そこに関連する因子を同定することを目的としている。プロゲスチンより誘導されるFibulin-1の役割を検討し、その制御機構を確認しつつあり、計画は順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

細胞外基質タンパクであるFibulin-1は、細胞接着・移動、創傷治癒、血管新生など多くの役割を果たしていると考えられている。ヒト子宮内膜培養細胞の増殖能、分化能への影響について、Fibulin-1を発現抑制した細胞にて機能解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

本年度の実験を継続しつつ、WST-8アッセイにて増殖能を検討する。分化能については、細胞の形態的変化と脱落膜化マーカーであるプロラクチン分泌能を検討する。プロゲスチンよるFibulin-1誘導のメカニズムを詳細に解析するために、それらに関与する転写因子の解析を行う。さらに、Fibulin-1の臨床的意義を検討するため、不妊症例から子宮内膜を採取してFibulin-1の発現解析を行う予定である

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Progestin-induced heart and neural crest derivatives expressed transcript 2 is associated with fibulin-1 expression in human endometrial stromal cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Cho H, Okada H, Tsuzuki T, Nishigaki A, Yasuda K, Kanzaki H.
    • 雑誌名

      Fertil Steril.

      巻: 99 ページ: 248-55

    • DOI

      10.1016/j.fertnstert.2012.08.056.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hypoxic stress simultaneously stimulates vascular endothelial growth factor via hypoxia-inducible factor-1α and inhibits stromal cell-derived factor-1 in human endometrial stromal cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Tsuzuki T, Okada H, Cho H, Tsuji S, Nishigaki A, Yasuda K, Kanzaki H.
    • 雑誌名

      Hum Reprod

      巻: 27 ページ: 523-30

    • DOI

      doi: 10.1093/humrep/der405.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Successful management of pregnancy-associated thrombotic thrombocytopenic purpura by monitoring ADAMTS13 activity.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamashita E, Okada H, Yorioka H, Fujita S, Nishi K, Komiyama Y, Kanzaki H.
    • 雑誌名

      J Obstet Gynaecol Res.

      巻: 38 ページ: 567-9

    • DOI

      doi: 10.1111/j.1447-0756.2011.01742.x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shakuyaku-kanzo-to inhibits smooth muscle contractions of human pregnant uterine tissue in vitro.2012

    • 著者名/発表者名
      Tsuji S, Yasuda K, Sumi G, Cho H, Tsuzuki T, Okada H, Kanzaki H.
    • 雑誌名

      J Obstet Gynaecol Res

      巻: 38 ページ: 1004-10

    • DOI

      doi: 10.1111/j.1447-0756.2011.01827.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] 低酸素環境のヒト子宮内膜におけるSDF-1とHIF-1αの検討2012

    • 著者名/発表者名
      都築朋子、岡田英孝、曺寿勇、西垣明実、下井華代、宮城博恵、安田勝彦、神崎秀陽
    • 学会等名
      第57回日本生殖医学会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール(長崎)
    • 年月日
      20121108-20121109
  • [学会発表] Estrogen and progestins regulate stromal cell-derived factor 1 (SDF-1/CXCL12) in human endometrium2012

    • 著者名/発表者名
      Hidetaka Okada, Tomoko Tsuzuki, Hisayuu Cho, Akemi Nishigaki, Katsuhiko Yasuda, and Hideharu Kanzaki
    • 学会等名
      4th Congress of the Asia Pacific Initiative on Reproduction(ASPIRE 2012)
    • 発表場所
      グランキューブ大阪(大阪)
    • 年月日
      20120901-20120902
  • [学会発表] ヒト子宮内膜間質細胞において低酸素刺激がHIF-1αを介してVEGF産生を誘導する2012

    • 著者名/発表者名
      都築朋子、岡田英孝、曺寿勇、西垣明実、下井華代、宮城博恵、安田勝彦、神崎秀陽
    • 学会等名
      第30回日本受精着床学会
    • 発表場所
      グランキューブ大阪(大阪)
    • 年月日
      20120830-20120831
  • [学会発表] ヒト子宮内膜の血管内皮増殖因子(VEGF)発現調節におけるSERMおよびプロゲスチンの関与について2012

    • 著者名/発表者名
      岡田英孝、都築朋子、曺寿勇、辻祥子、中嶋達也、安田勝彦、神崎秀陽
    • 学会等名
      第64回日本産科婦人科学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際展示場(神戸)
    • 年月日
      20120413-20130415

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公開日: 2014-07-24  

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