研究課題
卵巣癌とならぶ婦人科悪性腫瘍である子宮内膜癌の細胞株での検討により、TWIST-1(Twist-related protein 1)の発現が、悪性度の高いtype2内膜癌細胞株で亢進していることを見出した。type2内膜癌細胞株にTWIST-1を導入すると細胞の浸潤能は亢進し、ノックダウンすると低下した。この変化は上皮性マーカーと間様系マーカーの発現状態と並行していた。子宮内膜癌関連マイクロRNAの候補と考えていたmicroRNA-106bをtype2内膜癌細胞株に導入あるいはノックアウトとするとTWIST-1の発現はそれと逆相関し、上皮性マーカーと間様系マーカーの発現状態も変化した。以上よりmicroRNA-106bはTWIST-1の発現を抑制し、子宮内膜癌細胞の上皮間葉転換を制御することによりその浸潤能を低下させることを見出し報告した(Dong P*, Kaneuchi M. et al. Mol Carcinog. 53(5):349-359, 2014.)。そこで、microRNA-106bにより制御されるTWIST-1の発現調節について検討を進めた。上皮間葉転換を乳癌、肺癌などでは抑制すると報告されているKLF17 (Kruppel-like factor17)が、正常子宮内膜細胞に比べ内膜癌細胞ではでは他の癌腫とは逆に発現が亢進していた。子宮内膜癌細胞株にKLF17を過剰発現させると、細胞の上皮間葉転換が促進され、その浸潤能や抗がん剤(paclitaxel)への薬剤耐性が亢進した。これはKLF17がTWIST-1のプロモーター領域に直接結合し、その転写を活性化することによることを見出し報告した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Carcinogenesis
巻: 35 ページ: 760-768
10.1093/carcin/bgt369