研究課題
卵巣癌の腹腔内病変の進展・浸潤の制御と制圧を標的とした新しい治療戦略の開発を目指した。Carbonyl reductase (CR)が腫瘍増殖に果たす役割:sense CR 導入T-Ag MOSE cells(CR導入群)、vectorのみ導入T-Ag MOSE cells(コントロール群)の各細胞をヌードマウス側腹に移植し腫瘍体積の推移を5週間比較した。コントロール群は5週間腫瘍体積が増加した。一方、CR導入群は2週目まで腫瘍体積は増加したが、それ以降5週目まで腫瘍体積は減少した(Mann-Whitney test、P < 0.001)。CR導入群の腫瘍はネクローシスが顕著であった。CR導入群の腫瘍内のVEGF発現と血管密度は有意に減少していた(P < 0.001)。CR導入群の腫瘍ではCaspase-3の活性化とともにアポトーシス細胞の出現頻度は有意に増加していた(P < 0.001)。MFG-E8はCR導入群の腫瘍細胞質内と間質細胞内に広く分布しており、MFG-E8発現箇所でマクロファージによるアポトーシス細胞の貪食像が観察された。癌性腹膜炎に対する光線力学的療法とCAの併用療法の効果:DISS細胞による癌性腹膜炎マウスを作製した。コントロール(光照射のみ)群(n=8)、250mg/kgアミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩腹腔内投与(ALA methylester ip)+1時間後腫瘍への光照射(Irradiated ALA methylester ip)群(n=8)、Irradiated ALA methylester ip+CA投与群(n=8)の3群に分け生存期間を比較した。生存期間中央値26日のコントロール群に比べ、さらにはIrradiated ALA methylester ip群と比べてもIrradiated ALA methylester ip+CA群で有意な生存期間の延長が得られた(各々P < 0.01、P < 0.05)。結論:CR導入群の腫瘍が自然退縮する機序は、血管新生の抑制とアポトーシス細胞の増加、phagocytosisによるネクローシスの増加によると考えられた。卵巣癌の腹腔内病変に対する光線力学的療法とCAの併用療法の効果を初めて実証した。
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