研究課題/領域番号 |
23592430
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武田 卓 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20301260)
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研究分担者 |
築地 謙治 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (40528155)
李 賓 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術補佐員 (20566814)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 子宮筋腫 / メトホルミン / mTOR / AMPK |
研究概要 |
(1)ラット子宮筋腫モデル細胞株であるELT-3細胞に対して、糖尿病治療薬であるメトホルミンは1mMから細胞増殖抑制効果を示した。また、メトホルミンの添加によりELT-3細胞におけるAMPKのリン酸化亢進を認めた。さらに、メトホルミンは細胞の増殖・運動、細胞分裂、アポトーシスを制御するmTORシグナル伝達経路下流のp70S6, S6のリン酸化を減弱させた。AMPK inhibitorであるCompound Cは細胞増殖抑制を阻害した。Cleaved PARP抗体によるウエスタンブロット法、TUNEL染色とCaspase-3活性による検討から、メトホルミンは濃度依存的にアポトーシスを誘導した。このように、メトホルミンの子宮筋腫細胞増殖に対する抑制効果とメカニズムを世界で初めて明らかにした。研究成果を英文論文(Gynecological Endocrinology)に投稿中である。(2)ヒト子宮筋腫組織移植モデルマウスにメトホルミンを腹腔内投与し、8週後に摘出した組織をTUNEL染色とKi67抗体を用いた免疫染色で検討したところ、アポトーシスの誘導と細胞増殖抑制を認めた。In vivoにおいても、メトホルミンのヒト子宮筋腫細胞に対する増殖抑制効果を確認した。上記(1)(2)の内容を第63回日本産婦人科学会学術集会ならびに第84回日本内分泌学会学術集会で報告した。糖尿病治療薬であるメトホルミンは、一般臨床においても汎用される薬剤であり、また婦人科領域では多嚢胞性卵巣の排卵障害改善薬としても使用されている現状からすると、比較的副作用の少ない薬剤といえる。このように安全な薬剤により、細胞レベル・動物実験レベルで子宮筋腫の抑制効果を認めたことより、今後の実地臨床での応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivo、in vitroにおけるメトホルミンの子宮筋腫細胞に対する増殖抑制効果を証明し、学会発表ならびに論文投稿まで行ったことから判断すると、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
3月に発生した東日本大震災により実験の中断を余儀なくされた期間があったため、いくつかの課題が実験できずに今年度にくりこしとなった。当初の計画と合わせて、これらの課題を平成24年度に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、上記のようにおおむね順調に経過したが、3月に発生した東日本大震災により実験の中断を余儀なくされた期間があったため、いくつかの課題が実験できずに今年度にくりこしとなった。そのため、平成23年度に発生した繰越金は平成24年度に当初の計画した実験と併せて遂行するために使用予定である。
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