研究課題/領域番号 |
23592432
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宇都宮 裕貴 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359507)
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研究分担者 |
鍋島 寛志 東北大学, 大学病院, 助教 (90547415)
鈴木 史彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20400343)
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キーワード | 子宮内膜癌 / レチノイン酸 / エストロゲン受容体 / レチノイン酸受容体 / クロマチン免疫沈降クローニング |
研究概要 |
レチノイン酸(RA)は核内受容体に結合することによりその転写活性を調節し、様々な細胞の増殖を停止し、分化・アポトーシスを誘導する。またRA受容体(RAR)を介するシグナル伝達を阻害することにより癌の発症や増殖・進展が引き起こされると報告されている。我々は子宮内膜癌で強発現しているRARαおよびERαに直接結合する新たな共通の転写制御領域を同定し、その機能解析を行うためにERα陽性の子宮内膜癌細胞株(Ishikaw細胞)を用いて検討を行った。 これまでの検討でRARαをノックダウンすると細胞増殖は亢進しアポトーシス誘導が抑制された。一方、ERαをノックダウンすると細胞増殖は抑制され、強いアポトーシス誘導が認められた。よってRARαとERαには互いに相反する作用があることが示唆された。今回クロマチン免疫沈降cloningの手法を用いて合成レチノイン酸であるAM580添加後にRARαの標的結合領域を同定したところ、細胞周期やアポトーシス、エストロゲン受容体共役因子に関連する遺伝子がpick upされた。それらは、レチノイン酸が細胞増殖を制御するうえで非常に重要な要因となる可能性が推察された。以前に行ったERαの標的結合領域と比較検討するためVenn diagramを作成し、推定される共有標的結合領域を選定したところ、共通する遺伝子は同定されなかった。そのため、現在は種類の異なるレチノイン酸(ATRA:all trans-retinoic acid)を添加し、同様の検討を行っている。そして、共有標的遺伝子が同定されれば、その機能解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成レチノイン酸であるAM580投与によるレチノイン酸受容体と結合する標的部位は、エストロゲン受容体の標的結合部位と大きく異なっており、同じエストロゲン依存性腫瘍である乳癌とは異なった作用機序が存在する可能性が示唆される。現在、異なるタイプのレチノイン酸(ATRA)を用いて検討している。同様の手法を用いて検討するため比較的速やかに結果が得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
AN580と異なるレチノイン酸(ATRA:all trans-retinoic acid)を用いて同様の手法でクロマチン免疫沈降を行い、ERαとの共有する標的結合領域を同定する。さらに、同定した領域をknock downし、細胞増殖やアポトーシス誘導など検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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