研究課題/領域番号 |
23592440
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
端 晶彦 山梨大学, 医学部附属病院, 准教授 (10208431)
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キーワード | 子宮頸部胃型形質 |
研究概要 |
本研究により胃型形質を示す子宮頸部病変の生物学的特性を解明することを目的としている。子宮頸部胃型腺癌、悪性腺腫およびLEGHに腺癌合併症例では癌細胞に胃型形質が確認できるがこれらの腫瘍においては通常の子宮頸部腺癌に比べて明らかに発癌においてHPVの関与が少ないことを証明した。一方p53の変異は子宮頸部胃型腺癌、悪性腺腫およびLEGHに腺癌合併症例群が有意に高率であることを示した。これらのことより胃型形質を発現している腺癌は通常の頸部腺癌と発癌経路に違いがあることが推定される。さらにHPVの関与の少ない子宮頸部胃型腺癌の予後は通常腺癌より悪い傾向があることを示した。臨床的取り扱いにおいても重要な因子である可能性が高いことを示した。次に子宮頸部の代表的胃型形質発現病変である子宮頚部分葉状頸管腺過形成(Lobular endocervical glandular hyperplasia、以下LEGHと略す)において免疫組織学的検討により子宮頸部上皮が胃型粘液発現粘液細胞と神経内分泌細胞への多系統への分化を示すことを確認した。LEGHは幽門腺化生病変と考えられているがさらなる検討のきっかけとなると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮頸部胃型腺癌、悪性腺腫およびLEGHに腺癌合併症例では癌細胞に胃型形質が確認できるがこれらの腫瘍においては通常の子宮頸部腺癌に比べて明らかに発癌においてHPVの関与が少ないことを証明した。一方p53の変異は子宮頸部胃型腺癌、悪性腺腫およびLEGHに腺癌合併症例群が有意に高率であることを示した。これらのことより胃型形質を発現している腺癌は通常の頸部腺癌と発癌経路に違いがあることが推定される。さらにHPVの関与の少ない子宮頸部胃型腺癌の予後は通常腺癌より悪い傾向があることを示した。臨床的取り扱いにおいても重要な因子である可能性が高いことを示した。次に子宮頸部の代表的胃型形質発現病変である子宮頚部分葉状頸管腺過形成(Lobular endocervical glandular hyperplasia、以下LEGHと略す)において免疫組織学的検討により子宮頸部上皮が胃型粘液発現粘液細胞と神経内分泌細胞への多系統への分化を示すことを確認した。LEGHにおける神経内分泌細胞の一部はセロトニンを産生していることを二重染色法にて証明した。
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今後の研究の推進方策 |
LEGHが胃型粘液発現粘液細胞と神経内分泌細胞への多系統への分化を示すことを確認したが神経内分泌細胞が産生している物質のさらなる同定を行うことでさらなるLEGHの生物学的特性を知ることができるであろう。子宮頸部病変の検診での発見率向上を目的にHPVテスト併用検診が提唱されているが子宮頸部胃型腺癌、悪性腺腫およびLEGHに腺癌合併症例では通常の子宮頸部腺癌に比べて明らかに発癌においてHPVの関与が少ないことが確認されたのでこれらの疾患も念頭において検診システムの構築も考慮されるべきと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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