研究課題/領域番号 |
23592446
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬淵 誠士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00452441)
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研究分担者 |
澤田 健二郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00452392)
磯部 晶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60397619)
橋本 香映 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90612078)
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キーワード | mTORC1 / mTORC2 / 耐性化機構 / 卵巣癌 / 明細胞腺癌 |
研究概要 |
我々は平成23年度に、mTORC2がmTORC1阻害薬耐性化に関与し、mTORC2阻害によりmTORC1阻害薬耐性を解除できる可能性を示した。平成24年度は、まずmTORC2抑制により、卵巣癌細胞のmTORC1阻害薬への耐性化を回避できることを証明する実験を行った。実験モデル作成のために、まず卵巣癌細胞株にshRNAを導入し、mTORC2活性を消失した細胞(mTORC2 knockdown細胞)およびコントロール細胞(mTORC2活性化正常)を作成した。これにmTORC1阻害薬Everolimusを投与したところ、Control細胞ではEverolimus耐性細胞が出現したが、mTORC2 knockdown細胞はEverolimusに高い感受性を示し、耐性細胞の出現が見られなかった(In vitroおよびIn vivoの両方の実験において同様の結果であった)。これらのDataは、mTORC2抑制によって卵巣癌細胞のmTORC1阻害薬への耐性化を回避できることを直接的に示す結果といえる(米国の癌雑誌Mol Cancer TherにRevised versionを投稿中である)。 上述の検討に引き続き、mTORC2を標的とした卵巣癌治療の有用性の検討を開始している。これまでにmTORC2を阻害すると、卵巣癌細胞の増殖・浸潤が有意に抑制されることを確認し、現在、mTORC2阻害による血管・リンパ管新生への影響をIn vitroにおいて検討している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々のこれまでの検討により、mTORC2がmTORC1阻害薬耐性化に関与し、mTORC2阻害によりmTORC1阻害薬耐性化を回避できることを、論文として報告できるレベルで証明することができた(米国の癌雑誌Mol Cancer TherにRevised versionを投稿中である)。現在、卵巣癌に対するmTOC2標的治療の有用性を検討している段階であるが、In vitroの検討の大部分は終了しており、早期にIn vivoの検討を開始できる。計画のすべては平成25年度に終了し、論文として報告できると考えている。以上の進捗状況であるため、我々は、“研究は計画通りに進展している“と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、mTORC2を標的とした卵巣癌治療の有用性の検討をさらに進める予定である。前述のようにIn vitroの検討の大部分は終了しており、早期にIn vivoの検討を開始する。実験モデルとして、ヌードマウスの①皮下移植モデル(増殖の評価)、②腹腔播種モデル(播種の抑制効果の評価)、また③リンパ節転移モデル(リンパ節転移の抑止効果の評価)を使用する。現在、卵巣癌のリンパ節転移モデル(ヌードマウス)を確立すべく研究中であり、これが確立された後に、mTORC2を標的とした治療が、卵巣癌のリンパ節転移・播種・増殖を抑制できるか、また生存期間を延長するかについて検討を行う。またmTORC2阻害効果をmTORC1阻害効果と比較し、卵巣癌に対し、いずれの治療がより有効であるのかを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
卵巣癌細胞の培養費用 ヌードマウスの購入費用 mTOR阻害薬購入費用
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