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2011 年度 実施状況報告書

卵巣癌において異常活性化したリン酸化酵素の同定とその特異的阻害剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23592449
研究機関神戸大学

研究代表者

須藤 保  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (50397824)

研究分担者 井口 泰泉  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90128588)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード卵巣癌 / リン酸化酵素
研究概要

(1)網羅的メチル化解析から見出したリン酸化酵素PTK6は卵巣癌進行例において予後不良因子である:卵巣癌臨床検体4症例と正常組織4症例から抽出したゲノムを用いメチル化スクリーニングを行った結果、卵巣癌に特異的に脱メチル化しているリン酸化酵素PTK6を同定した。卵巣がん細胞10株中全例に発現が見られた。また卵巣がん臨床検体69例(粘液性15例、漿液性24例、明細胞14例、類内膜17例)のうち63.8%の症例に発現亢進が観察された。組織型別では明細胞(28.6%)に比べ、漿液性(66.7%)、類内膜(82.7%)で有意に高かった。全症例においてPTK6発現と予後に関して統計的な有意差は見られなかったが、進行症例である病期III,IV期で検討を行ったところ、PTK6陽性例において有意に全生存率について予後不良であることが分かった(p=0.048)。(2)卵巣癌臨床検体を用いた3次元初代培養+リン酸化酵素阻害剤評価系の確立:大阪府立成人病センター井上正宏博士らが開発したがん細胞抽出法ならびに新規低接着培養ディッシュを用いた三次元培養を組み合わせた初代培養法を確立し、そのうえで各種リン酸化酵素阻害剤を添加し増殖抑制を指標として活性化したリン酸化酵素を同定する手法を確立した。以下にその手法の要点を記載する。(1)がん組織をペースト状になるまでミンス。(3)Liberase DL(0.3 unit/ml)およびDNase I(100 U/ml)を加えて、37°Cで2時間旋回振盪。(4)300 µmのメッシュならびに70 µmのstrainerを通して細胞回収。(5)低接着ディッシュに播種し、24時間後に各種リン酸化酵素阻害剤を添加。(6)72時間暴露後にEdUの取り込みを評価。本手法により現在卵巣癌臨床検体8例を評価しており、現在解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)卵巣癌で脱メチル化を起こしているリン酸化酵素PTK6を同定し、臨床検体で高頻度に過剰発現していることを明らかした点。(2)PTK6に対する阻害剤としてダサチニブが知られており、現在各種卵巣癌細胞株を用いてダサチニブに対する感受性を解析中である点。(3)初代培養法において、当初、細胞培養液の設定に難渋したが、現在は卵巣癌において適切な培地条件を決定することが出来た点。(4)細胞増殖抑制効果に関して、三次元培養では従来のWSTやMTT測定は細胞内への取りこみや吸光度が正確に測定できず、EduというDNA合成を指標とすることで評価が可能となった点。

今後の研究の推進方策

当初の平成24年度の研究目標は「同定したリン酸化酵素が発癌、悪性化に寄与しているかどうか」であった。それに準じて(1)卵巣癌細胞株(in vitro)ならびに卵巣癌臨床検体より分離された腫瘍細胞(ex vivo)を用いて同定したPTK6を阻害することで(siRNA、特異的阻害剤)、増殖抑制、細胞死が誘導されるか検証する (Oncogenic Kinase addictionの検討)。(2)初代三次元培養系において卵巣癌(各組織型での)ではどのようなリン酸化酵素阻害剤が有効であるのか、裏を返せばその主たるOncogenic Kinaseあるいは伝達経路を同定することを目標とする。

次年度の研究費の使用計画

細胞培養関連試薬、一般試薬、免疫不全マウス、抗体、DNA,RNA合成、研究打ち合わせ、研究補助に対する謝金

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Potential role of LMP2 as tumor-suppressor defines new targets for uterine leiomyosarcoma therapy2011

    • 著者名/発表者名
      akuma Hayashi, Akiko Horiuchi, Kenji Sano, Nobuyoshi Hiraoka, Mari Kasai, Tomoyuki Ichimura, Tamotsu Sudo , Nobuo Yaegashi , Hiroyuki Aburatani , Tanri Shiozawa , Ikuo Konishi
    • 雑誌名

      Nature Scientific Reports

      巻: 1 ページ: 180-188

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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