研究課題
①卵巣がん細胞株(in vitro)ならびに卵巣癌臨床検体より分離された腫瘍細胞(ex vivo)を用いて同定したPTK6を阻害することで(siRNA、特異的阻害剤)、増殖抑制、細胞死が誘導されるか検証する (Oncogenic Kinase addictionの検討)。卵巣がん細胞株10種類を用いてPTK6蛋白発現とその阻害剤であるダサチニブ感受性(IC50)の間には相関がなかった。リン酸化酵素の活性度は実際の酵素活性を測定するのが理想であるが、実臨床では困難である。そこで我々はリン酸化型PTK6(p-PTK6(Tyr342))を用いて同様の検討を行った。p-PTK6の発現が高いほど感受性が高い傾向を示した。②初代三次元培養法と薬剤感受性評価系の確立昨年度に確立した卵巣がん組織からがん細胞を採取する方法に加えて、今年度は①新規初代三次元培養法 ②薬剤感受性評価系の確立を行った。①に関してトランスパレント社と共同で新規初代三次元培養プレートを開発した。(Stem-like cell characteristics of cancer spheroids grown in a microfabricated cell array three-dimensional culture system Cell-ableTM Oncology 2013 AACR)本法により上皮マーカーであるEpCAM陽性細胞がspheroidを形成し、EdUの取り込み試験から約1週間の培養が可能であることが明らかとなった。②薬剤感受性の評価として、EdUの取り込みならびにCaspase 3/7の細胞染色が有効であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
①リン酸化酵素PTK6の総蛋白発現量ではなくリン酸化型(tyr342)がダサチニブに対する感受性に相関することを明らかにした点。②初代培養法において昨年度よりも適切な培地条件を決定することが出来、現在卵巣がん4症例、子宮体がん3例での初代培養に成功した点。③細胞増殖抑制効果に関して、EduというDNA合成を指標とする以外にCaspase3/7を指標とすることで評価が可能となった点。
①臨床検体を用いてリン酸化型PTK6の免疫組織学的染色を行い、組織型、予後、病期といった臨床病理学的因子との関連を明らかにする。②初代三次元培養に関しては、さらに臨床検体の症例を増加させ、各種抗癌剤、分子標的薬(リン酸化酵素阻害剤を含む)に対する感受性データを蓄積される。その上で卵巣癌におけるoncogenic kinaseを明らかにしていく。
細胞培養関連試薬、一般試薬、免疫不全マウス、抗体、DNA,RNA合成、研究打ち合わせ、研究補助に対する謝金
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
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