研究課題/領域番号 |
23592450
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宮崎 康二 島根大学, 医学部, 教授 (50145322)
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研究分担者 |
中山 健太郎 島根大学, 医学部, 講師 (70346401)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
Digital Karyotyping、SNP arrayを用いて漿液性子宮体癌の染色体19短腕に複数に遺伝子増幅領域を認めた。特に19p12領域には以前から癌遺伝子として報告のあるCCNE1 (Cyclin E1)が存在するため、CCNE1に焦点を絞り、漿液性子宮体癌での臨床病理学的検討、予後について検討中である。また、PIK3CAも約30%に遺伝子増幅を認めた。さらにExome sequnenceの結果、TP53 (81.6%), PIK3CA (23.7%),FBXW7 (19.7%) and PPP2R1A (18.4%)に遺伝子変異を認めた。現在、サンガーシークエンスを行い確認中である。CCNE1の遺伝子コピー数とタンパク発現との関連 CCNE1の遺伝子増幅は20.4%(18例/88例)に認められた。CCNE1の免疫染色はHSCOREで評価し中央値は70(0~353)であった。CCNE1のFISH及び免疫染色の結果は図2に示した。CCNE1の遺伝子コピー数と免疫染色のHSCOREは有意に正の相関を示した(r=0.522, P<0.0001)。CCNE1遺伝子増幅と漿液性子宮体癌患者の予後 CCNE1遺伝子増幅と漿液性子宮体癌患者の予後につてカプランマイヤー法で検討したところ、CCNE1の遺伝子増幅症例は無病生存期間、全生存期間ともに有意に短い傾向にあった。現在、症例数を増やして検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Digital Karyotyping、SNP arrayを用いて漿液性子宮体癌の染色体19短腕に複数に遺伝子増幅領域を認めた。また、PIK3CAの遺伝子増幅を約40%に認めた。すでに、最初の網羅的解析は終了し、候補癌遺伝子の同定に成功している。現在、エキソームシークエンスを追加し、新たな遺伝子異常の探索に取りかかった。
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今後の研究の推進方策 |
難治性Type II子宮内膜癌の発生機構の分子生物学的解明および、その臨床応用へと展開していくため、本研究では以下の研究項目を予定している。1.Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子の細胞生物学的特性の解明2.Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子産物の臨床病理学的特性の解明3.Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子の機能解析(制御遺伝子、パスウェイの検索)
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次年度の研究費の使用計画 |
Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子の生物学的特性の解明1.遺伝子増幅がみられた症例はマイクロアレイ法を用いる事により、網羅的な遺伝子発現解析を行い遺伝子増幅領域内の責任候補遺伝子を同定する指標とする。遺伝子増幅領域の高発現遺伝子(Driver gene)が同定されたら、臨床検体を用いてReal-time PCR法にて遺伝子発現プロファイルを作成し責任遺伝子を絞り込む。2.責任候補遺伝子はPCR法を用いて遺伝子クローニングし、腫瘍増殖能を持たない正常子宮内膜腺細胞株に安定遺伝子導入して細胞増殖能や非足場依存性増殖能、さらに、ヌードマウスへ皮下注、腹腔内投与による腫瘍増殖能等について検討し、癌遺伝子としての機能について検討する。また、siRNAを用いた発現抑制解析をin vitro、in vivoで行い、本遺伝子が分子標的因子になりうるかどうか検討する。 H24年以降は上記の責任候補遺伝子の絞り込みのために、研究費を投入する予定。すなわち、PCRや遺伝子クローニングのための分子生物学的消耗品に費やす予定。H23年度は遺伝子の網羅的解析が予想以上に速やかに行われたため、残金が生じ、次年度の責任遺伝子の絞り込みに費やす予定である。
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