研究課題
当科及び、関連施設でインフォームドコンセントの得られた難治性Type II子宮内膜癌手術後の臨床検体を初代培養し、上皮細胞に対する鉄ビーズ付加上皮細胞特異抗体(anti-EpiCAM-conjugated beads)とマグネットを用いたセルソーティングを用いて癌細胞のみの検体からDNAを抽出した。Type II子宮内膜癌症例、約10例でDigital Karyotyping、SNP arrayを用いて遺伝子増幅領域を同定した。当科関連病院での症例を含めたType II子宮内膜癌(約50例)を使用したTissue Microarray(TMA)を用いてDual-color FISH法にて大規模サンプルでの遺伝子増幅の頻度、予後等について検討した。Digital Karyotyping、SNP arrayを用いて漿液性子宮体癌の染色体19短腕に複数に遺伝子増幅領域を認めた。特に19p12領域には以前から癌遺伝子として報告のあるCCNE1 (Cyclin E1)が存在するため、CCNE1に焦点を絞り、漿液性子宮体癌での臨床病理学的検討、予後について検討中である。CCNE1の遺伝子コピー数とタンパク発現との関連、CCNE1遺伝子増幅とType II 子宮体癌患者の予後につてカプランマイヤー法で検討したところ、CCNE1の遺伝子増幅症例は無病生存期間、全生存期間ともに有意に短い傾向にあった。現在、症例数を増やして検討中である。Type II 子宮体癌細胞株をもちいてCCNE1は細胞増殖、細胞浸潤、転移に関連していないか、検討中である。
2: おおむね順調に進展している
Digital Karyotyping、SNP arrayを用いて漿液性子宮体癌の染色体19短腕に複数に遺伝子増幅領域を認めた。また、PIK3CAの遺伝子増幅を約40%に認めた。すでに、最初の網羅的解析は終了し、候補癌遺伝子の同定に成功している。現在、エキソームシークエンスを追加し、新たな遺伝子異常の探索に取りかかった。
難治性Type II子宮内膜癌の発生機構の分子生物学的解明および、その臨床応用へと展開していくため、本研究では以下の研究項目を予定している。1.Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子の細胞生物学的特性の解明2.Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子産物の臨床病理学的特性の解明3.Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子の機能解析(制御遺伝子、パスウェイの検索)
Type II 子宮内膜癌特有の新規癌遺伝子の生物学的特性の解明を今年度は行う予定である。昨年度は癌遺伝子CCNE1の遺伝子増幅を発見した。H24年未使用額(1,099,698円)は研究が予想以上にスムースであったためである。この金額は今年度のCCNE1の機能解析に使いたい。責任候補遺伝子CCNE1をPCR法を用いて遺伝子クローニングし、腫瘍増殖能を持たない正常子宮内膜腺細胞株に安定遺伝子導入して細胞増殖能や非足場依存性増殖能、さらに、ヌードマウスへ皮下注、腹腔内投与による腫瘍増殖能等について検討し、癌遺伝子としての機能について検討する。また、siRNAを用いた発現抑制解析をin vitro、in vivoで行い、本遺伝子が分子標的因子になりうるかどうか検討する。
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