研究課題/領域番号 |
23592452
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村上 明弘 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70379965)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | carbonyl reductase / 子宮体癌 / 浸潤・転移 / 上皮間葉転換 / 分子標的治療 |
研究概要 |
1. in vitroでCBR1の強発現および発現抑制による細胞機能を検討する。1)細胞増殖能の変化:CBR1の発現抑制細胞ではコントロールと比較して、細胞増殖は有意に亢進されていた。反対にCBR1の強発現細胞では、細胞増殖は有意に抑制されていた。2)細胞形態の変化:CBR1の発現抑制細胞では細胞形態は線維芽細胞様に変化していた。CBR1の強発現細胞では敷石状の形態に変化していた。3)細胞浸潤能・移動能の変化:CBR1の発現抑制細胞ではコントロールと比較して、細胞浸潤能・移動能は有意に亢進されていた。反対にCBR1の強発現細胞では、細胞浸潤能・移動能は有意に抑制されていた。4)MMPの分泌:CBR1の発現抑制細胞ではコントロールと比較して、MMP分泌は有意に増加していた。反対にCBR1の強発現細胞では、MMP分泌は有意に抑制されていた。2. CBR1の発現低下が臨床的に予後不良となるメカニズムについて、上皮間葉転換EMTのメカニズムを中心に検討する。CBR1の発現抑制細胞で細胞形態は線維芽細胞様に変化していた。EMTのkey moleculeであるE-cadherinの発現はCBR1の発現抑制細胞では明らかに抑制されていた。E-cadherinの転写抑制因子であるSnail、ZEB1の発現はCBR1の発現抑制細胞では明らかに増加していた。さらに、上皮マーカーであるサイトケラチン18の発現葉低下し、間葉マーカーであるfibronectin及びalpha-smooth muscle actinの発現が亢進していた。よって、CBR1の発現抑制によってEMTが誘導されることが明らかとなった。以上の結果より、予後不良となるメカニズムはCBR1の発現低下によって細胞増殖能が亢進することに加えて、EMTが誘導され、細胞浸潤能が亢進する結果であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画である1. in vitroでCBR1の強発現および発現抑制による細胞機能を検討する。2. CBR1の発現低下が臨床的に予後不良となるメカニズムについて、上皮間葉転換を誘導するか検討する。以上の2目標はいずれも達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
1. CBR1の強発現および発現抑制した子宮体癌細胞をヌードマウスに移植する。CBR1の発現が移植腫瘍の発育に及ぼす影響をin vivoで検討する。2. 上記研究の結果、in vitroの結果と同様にin vivoでもCBR1の発現低下細胞の腫瘍形成能が亢進していれば、皮下移植した腫瘍細胞にウイルスベクターを用いてCBR1の強発現を誘導し、腫瘍の増殖抑制が可能であるか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. in vivo実験のために、多くのヌードマウスの購入と飼育費を要する。2. in vivo実験のために、多くのヌードマウスの購入と飼育費を要するに加えてウイルスベクターの作成費用を要する。平成23年度のin vitro実験において細胞培養のための培養シャーレ、培地、血清購入の費用を計上していたが、研究が順調に進み次年度に繰り越しとなった。この繰越額についてはウイルスベクター作成費用に加算して使用する予定である。
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