研究課題/領域番号 |
23592452
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村上 明弘 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70379965)
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キーワード | carbonyl reductase / 子宮体癌 / 上皮涵養転換 / 分子標的治療 |
研究概要 |
in vivo実験において腫瘍形成能におけるCBR1の関与。 センス(CBR1-S)およびアンチセンス(CBR1-AS)CBR1 cDNAを遺伝子導入した子宮体癌細胞SNGM 5X1,000,000個をヌードマウスの右側腹部皮下に移植した。移植後8週間の腫瘍体積の変化とEMT関連分子の発現を免疫組織染色で検討した。移植後8週間の腫瘍体積は、コントロール(297.9±88.7mm3)と比較し、CBR1-AS で有意に大きく(678.8±114.7mm3、p=0.022)、一方 CBR1-S では有意に小さかった(4.6±8.0mm3、p=0.03)。腫瘍組織でのCBR1、E-cadherinおよびその転写抑制因子であるSnailの発現について免疫組織染色で検討したところ CBR1-AS では8週間後でも CBR1 の発現は抑制されており、E-cadherin の発現抑制と Snail の発現増加が認められた。一方、CBR1-S では、8週間後でも CBR1 の発現増加は保たれており、E-cadherin の発現増加と Snail の発現抑制が認められた。また、腫瘍関連マクロファージの腫瘍間質への遊走は CBR1-AS で有意に増加していた。 以上より、CBR1の発現低下は、in vivo でも腫瘍の増殖能を亢進させることが分かった。さらに興味深いことに CBR1の発現増加によって、腫瘍の形成が著明に抑制されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画である CBR1の強発現および発現抑制をした子宮体癌細胞をヌードマウスの皮下に移植する。CBR1の発現が移植腫瘍の発育に及ぼす影響を検討する。 (結果)CBR1の発現を抑制した腫瘍は有意に増大し、反対にCBR1の発現を亢進させた場合は移植腫瘍の増大は有意に抑制される。また、CBR1の発現を抑制した腫瘍の間質には腫瘍関連マクロファージの遊走が有意に亢進した。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究結果より、子宮体癌細胞の皮下移植によって形成される腫瘍にレンチウイルスベクターを用いてCBR1の組織内強発現を誘導し、腫瘍の増殖を抑制できるかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.in vivo実験のためにヌードマウスの購入と飼育費を要する 2.レンチウイルスベクターの作成費を要する。 ヌードマウスの皮下への腫瘍細胞の移植実験が非常に順調に進行した結果、予想以上に使用する予定のマウスの購入や飼育管理費用およびそれに関連する試薬や消耗品が少なくて済んだために未使用額1,493,804円が生じた。この未使用額については平成25年度の研究費と合わせてウイルスベクターを使用した動物実験に用いる予定である。
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