• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

ポリマー多重加工オンコリティックアデノウイルスによる卵巣癌特異的遺伝子治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 23592453
研究機関愛媛大学

研究代表者

濱田 雄行  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90172973)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードオンコリティックウイルス / 卵巣癌 / ポリエチレンイミン / コンドロイチン硫酸
研究概要

オンコリティックウイルスは陰性荷電(ポリアニオン)であるため、これを被覆加工する陽性荷電(ポリカチオン)について検討を行った。陽性荷電のリポソーム、キトサン、ポリエチレンイミン(PEI)を比較検討すると、生体由来物質のキトサンはロット毎の荷電にばらつきがあり、荷電の強度も弱いことがわかった。リポソームとPEIを比べるとリポソームは2週間以上の4℃の保存で劣化し、不安定であることが明らかとなった。PEIは3社の中で最も安定した陽性荷電を有し、再現性も高かったが、毒性も強かった。このため、必要最少量のPEIを用いることとした。陰性荷電物質については、腫瘍にその受容体のCD44が多量発現し、既に医療用薬品として市販化され手に入りやすいヒアルロン酸とコンドロイチン硫酸の比較検討を行った。ヒアルロン酸は、粘稠性が高く加工に難点があり、分子量を低くしてもその粘稠性は多少の低下が認められたが、やはり加工に難点があった。腫瘍特異性においても検討したところ、ヒアルロン酸よりコンドロイチン硫酸の方が腫瘍特異性が高く、コンドロイチン硫酸の中でもサメが減量の分子量10万以下のものが最も腫瘍特異性が高かった。また、陽性荷電のポリエチレンイミン(PEI)の安定性をζ電位測定(ゼータサイザーナノ、Malvern)により検討すると、4℃で1週間以上保存しておくと低下することが明らかとなった。このため、PEIは新たに作製して1週間以内のものを使用することとした。1x1010PFUのオンコリティックウイルスAdE3-midkine(1元)にPEI(2元)さらにコンドロイチン硫酸(3元)加工し、同様に多重加工して最外層を陰性荷電のコンドロイチン硫酸とした。抗体存在下でアデノウイルスーGFPを用いた発現実験をすると、抗体存在下でもポリマー加工で遺伝子発現が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

アデノウイルスは、抗体存在下では全く感染しないことがアデノウイルスを用いた遺伝子治療の最大の問題点とされていたが、PEIとコンドロイチン硫酸を用いると、腫瘍特異的に抗体存在下においても遺伝子発現することが明らかとなった。ζ電位を用いた測定においてもPEIにて+20mVの陽性荷電が得られ、さらにコンドロイチン硫酸加工により-20mVの陰性荷電が得られていることが確認され、十分なポリマー加工が行われていることが確認された。また、電子顕微鏡を用いた形態的な検討においてもポリマー加工によりアデノウイルスの表面に球状の層によりアデノウイルスが被覆加工されていることも確認された。

今後の研究の推進方策

今回の研究は、抗体存在下におけるポリマー加工したアデノウイルスの感染能力のみを検討したものであるが、今後、in vitroにおいて抗体存在下における腫瘍特異的な抗腫瘍効果の検討、その際に、より抗体による感染抑制を強力に克服できるかについて、ポリマー加工をどの程度の層まで行えば良いか検討をする必要がある。また、さらにはsyngeneic mouse modelを用いた卵巣癌の皮下腫瘍モデル、腹腔内播種性モデルにおいてアデノウイルスで事前免疫した後に抗体存在下においても抗腫瘍効果を示すか検討する必要がある。

次年度の研究費の使用計画

主としてin vitroおよびin vivoにおけるPEIとコンドロイチン硫酸を用いたオンコリティックウイルスのポリマー加工において抗腫瘍効果を検討するため、研究費の使用を計画している。そのために、培養用ディッシュ、培養液、マウス等の購入に研究費を充てる計画である。また、他施設との共同研究により新たな地券をうる必要があり、こうした研究打ち合わせについても仕様を検討している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Intravenous injection of irradiated tumor cell vaccine carrying oncolytic adenovirus suppressed the growth of multiple lung tumors in a mouse squamous cell carcinoma model.2011

    • 著者名/発表者名
      Saito, A., Morishita, N., Mitsuoka, C., Kitajima, S., Hamada, K., Lee, K.M., Kawabata, M., Fujisawa, M. and Shirakawa, T.
    • 雑誌名

      Journal of Gene Medicine

      巻: 13 ページ: 353-361

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gene therapy for oral squamous cell carcinoma with IAI.3B promoter-driven oncolytic adenovirus-infected carrier cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Zhang, T., Hamada, K., Hyodo, M., Itoh, H., Tani, K., Goda, H., Nakashiro, K. and Hamakawa, H.
    • 雑誌名

      Oncology Reports

      巻: 24 ページ: 795-802

    • 査読あり
  • [学会発表] Carrier cells infected with IAI.3B promoter-driven oncolytic adenovirus overcome immunogenicity and induce complete tumor reduction in oral squamous carcinoma cells2011

    • 著者名/発表者名
      Hamada, K., Zhang, T., Nakashiro, K., Hamakawa, H.
    • 学会等名
      The ASGCT 14th Annual Meeting
    • 発表場所
      Seattle, USA
    • 年月日
      May 19-21, 2011
  • [学会発表] Efficacy and biosafety test of carrier cell infected with oncolytic adenovirus2011

    • 著者名/発表者名
      Hamada, K., Zhang, T., Shirakawa, T., Huang, W.
    • 学会等名
      102th AACR
    • 発表場所
      Orland, USA
    • 年月日
      April 2-6 2011
  • [学会発表] ウィルス抗原遺伝子を用いたガン免疫治療の新しい考えかた.2011

    • 著者名/発表者名
      小山義之、芳原智恵子、黒田美奈子、濱田雄行.
    • 学会等名
      第21回バイオ・高分子シンポジウム
    • 発表場所
      吹田市
    • 年月日
      2011年7月25日~26日
  • [学会発表] ovel adenovirus complexes having artificial envelope for tumor gene therapy.2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshihara, C., Hamada, K., Koyama, Y.
    • 学会等名
      第17回日本遺伝子治療学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2011年7月15-17日
  • [学会発表] 頭頚部癌におけるIAI.3Bプロモーター導入オンコリティックアデノウイルス感染キャリアー細胞の抗腫瘍効果2011

    • 著者名/発表者名
      濱田雄行
    • 学会等名
      第70回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20111003-05

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi