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2011 年度 実施状況報告書

子宮頸癌発生に関与する腟内変異原分子の探索と検知機器開発の基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 23592462
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

藤井 多久磨  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10218969)

研究分担者 大熊 廣一  東洋大学, 生命科学部, 教授 (30297733)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード子宮頸部腫瘍 / サイトカイン / パピローマウイルス / 細菌性腟症
研究概要

(背景)腟内細菌叢の乱れが前癌病変の進展,もしくはHPV感染と相関するか否かを目的として、子宮頸部前癌病変患者を対象群として解析を行った。(方法)解析症例は前癌病変および健常人の200名で、年齢平均値は36歳(幅:21歳ー50歳)、細胞診、組織診が判明し、腟培養、およびHPV型判定が行われている。(結果)クリニチップHPVによるHPV感染が144例、陰性は56名であった。腟内培養検査で乳酸菌(L.)陽性は148名、陰性は52名、G.vaginalis(GV)陽性は65名であった。1)L.とGVの出現率2)HPV感染と嫌気性菌出現率には差が認められなかった。一方、3)HPV感染とGV出現率には正の相関がみられた(P=0.02)。上記検体から解析が可能であった132例を対象としてL.と細菌性腟症関連菌(G.vaginalis, Atopobium vaginae, Mobiluncus curtisii)を標的として定量的Reverse Transcriptase-PCRを行った。その結果、乳酸菌亜株としてL. iners, L. criptatus, L.gassri, L.jhonseniiの中ではL.crispatusと細菌性腟症関連菌の中ではGVに優位な負の相関が認められた。腟内サイトカイン・ケモカイン発現の網羅的解析では高濃度のIL-1β(p=0.003) とIL-8(p=0.001)は高度細胞診異常と相関した。高度細胞診異常のないグループにおいて高濃度のIL-8(p=0.036)とMIP-1β(p=0.032)はハイリスクHPV型感染と関連した。(結論)L.の亜株とGVに相関が見られ、HPV感染とGV出現率には正の相関がみられたことから腟内細菌叢の乱れと前癌病変にはなんらかの相関があり、サイトカイン、ケモカインの発現が関与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では下記に示す4つの計画から構成されている。1.子宮頸部前癌病変患者における腟内細菌叢の分析2.子宮頸部前癌病変患者における局所免疫応答の解析3.腟内分泌物から検出されるアミン化合物および低分子物質の探索4.ニオイセンサの臨床応用をめざした基礎的検討。1,2についてはほぼ実験は終了し解析をおこなっている。この結果から、腟内細菌叢が産生する分子が前癌病変に対しなんらかの影響を与えていると考えられた。その原因追求のためには3.について遂行する意義があると考え、現在、MAS解析の予備実験を行っている。これらの解析結果を臨床現場へ応用するために新しい機器を開発することを模索しており、4.について準備を進めている。現在、腟内分泌物を材料として、予備実験を行い、臨床的に意味のあるセンサーを選別中である。さらに計測に最適な条件を検討中である。

今後の研究の推進方策

MAS解析にあたり、セットアップに時間がかかっているが、全体として研究は概ね順調に進んでおり、今後も研究分担者と継続的に連絡を蜜にとりながら研究を遂行していく。

次年度の研究費の使用計画

繰越金が生じた理由として、MAS分析の実験系を確立するために時間がかかっているためである。今年度はMASにかかる消耗品費用とニオイセンサの改良に費用をかける。そのほか、局所免疫応答が子宮頸癌培養細胞に及ぼす効果を解析するために培養細胞実験にかかわる試薬に費用を充当する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Predicting the progression of cervival precursorlesions by human papillomavirus genotyping : A prospective cohort study2011

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto K, Oki A, Furuta R, Maeda H, Yasugi T, Takatsuka N, Mitsuhasi A, Fujii T, Hirai Y, Iwasaka T, Yaegashi N, Watanabe Y, Nagai Y, Kitagawa T, Yoshikawa H
    • 雑誌名

      Int J Cancer

      巻: 128 ページ: 2898-2910

    • 査読あり
  • [学会発表] Cartenoids,smoking and alcohol drinking affects outcome of low-grade CIN2011

    • 著者名/発表者名
      T.Fujii, N.Takatsuka, K.Matsumoto, H.Maeda, T.Yasugi, A.Mitsuhashi, Y.Aoki, A.Oki, Y.Watanabe, H.Yoshikawa
    • 学会等名
      27th International Papillomavirus conference and clinical workshop
    • 発表場所
      Berlin, Germany
    • 年月日
      September 17-22, 2011
  • [図書] 子宮頸癌・外陰癌の手術 理論と実際2011

    • 著者名/発表者名
      藤井多久磨、青木大輔
    • 総ページ数
      157
    • 出版者
      メジカルビュー

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公開日: 2013-07-10  

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