研究課題/領域番号 |
23592465
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三上 幹男 東海大学, 医学部, 教授 (30190606)
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研究分担者 |
岩森 正男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90110022)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / 子宮頸癌 / 子宮内膜 / 硫酸化糖脂質 / 卵巣癌 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
1.子宮体癌由来細胞への硫酸化糖脂質関連遺伝子導入:現在、硫酸基転移酵素遺伝子を体癌由来培養細胞(低分化型)に導入中であるが、遺伝子導入に用いるベクター、導入方法についてパイロット実験中であり、遺伝子導入の条件検討を行っている。2.子宮頸癌培養細胞における糖脂質の発現:子宮頸癌由来培養細胞株(扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌など)の糖脂質発現を解析したところ、扁平上皮癌に比べて腺癌で硫酸化糖脂質が強く発現されており、小細胞癌の中にも強発現の細胞株が認められた。腺腔形成に硫酸化糖脂質が何らかの関連性を有することが示唆される。3.レクチンアレイの体癌分化度予後診断への応用:申請者らはレクチンアレイを用いて高分化型・低分化型腺癌を選別する方法を確立し特許申請中であるが、この方法を、病理学的診断では予後が良いのか悪いのか、追加治療の必要性を明確に診断できない中等度分化型腺癌に適応し少数例ではあるが、その癌の性格を見極めることを成功している。4.卵巣癌抗がん剤耐性細胞と糖脂質発現との関連性:漿液性卵巣癌由来培養細胞KF28および2008より樹立した抗がん剤耐性細胞について、耐性に関わるABCトランスポーターと糖脂質発現との関連を探索したところ、両細胞ともに、パクリタキセル耐性細胞にはABCトランスポーターMDR1が高発現し、糖脂質Gb3Cerおよびガングリオシドが高濃度に含まれていた。一方、糖脂質合成の代謝阻害剤PDMPを添加すると、パクリタキセル耐性細胞を感受性に、また、ガングリオシドGM3を添加すると、シスプラチン耐性細胞を感受性細胞に変化させることができた。糖脂質は細胞膜の性質を変化させ、トランスポーターとともに、抗がん剤の取り込みと排出に関与していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「子宮体癌由来細胞への硫酸化糖脂質関連遺伝子導入」では、硫酸基転移酵素の遺伝子導入に関して、まだ適切なベクター、適切な条件、適切な培養細胞株が判明しておらず、実験を継続している。ほかのテーマについては実験方法が確立しているものであり、順調に達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、糖脂質の機能解析を進めるべくヌードラットを用いた正所子宮頸癌モデルを作成中である。すでにモデル作成には成功しているが、モデルの安定な作成に関しての条件確認を行っている。体癌あるいは頸癌において、より腺腔形成する腺癌(高分化型)において硫酸化糖脂質が強発現することが明らかになっていることから、安定したモデルラットに硫酸基転移酵素導入培養細胞株を移植することで硫酸化糖脂質の癌における生理機能の探索、それからの応用としての腺癌への分化誘導療法薬の開発に結び付き、迅速な研究の展開が期待される。また同様に卵巣癌の薬剤感受性を変化させうるin vivoでの実験をin vivoで発展させることで一層の臨床への結びつく可能性を秘めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費(実験結果データの保管、統計処理・解析用パソコン 250千円、組織・細胞観察用カメラ 150千円)計 400千円消耗品費(試薬 140千円、細胞培養消耗品 54千円、実験用動物 100千円、ガラス器具 300千円)計 594千円外国旅費(International Gynecologic Cancer Society 2012 出席(研究代表者:三上幹男)250千円その他(International Gynecologic Cancer Society 2012参加費)60千円今年度に使用する試薬および細胞培養消耗品を購入したが、残額が発生した為、次年度へ繰り越し細胞培養消耗品を購入する際、使用する。
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