研究課題/領域番号 |
23592465
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三上 幹男 東海大学, 医学部, 教授 (30190606)
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研究分担者 |
岩森 正男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90110022)
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キーワード | 子宮体癌 / 子宮頸癌 / 子宮内膜 / 硫酸化糖脂質 / 卵巣癌 / 薬剤耐性 / バイオマーカー |
研究概要 |
1.硫酸化糖脂質が子宮内膜癌の分化誘導に関係するか、移植腫瘍への投与実験、培養細胞への投与実験を行っている。腺腔形成、分化誘導を起こしている傾向はみられるものの有意差が見られていない。今後は正所移植モデルを用いての検討を行う。 2.レクチンアレイの体癌分化度予後診断への応用:申請者らはレクチンアレイを用いて高分化型・低分化型腺癌を選別する方法を確立し特許申請を行い受理された。この内容について論文投稿を行い無事に掲載された。 3.各種卵巣癌由来培養細胞、漿液性KF28、明細胞RMG-1、類内膜HNOA、粘液性HMKOAを用い、抗がん剤感受性とトランスポーター遺伝子および糖転移酵素遺伝子の発現を調べた。抗がん剤タキソールに対してRMG-1とHMKOAはKF28とHNOAよりも耐性であり、それぞれの癌患者の抗癌剤抵抗性と一致していた。両耐性細胞にはトランスポーター遺伝子MDR1が特異的に発現していたが、同時に糖脂質GM3を高発現していた。糖脂質は細胞膜の物理的性質を変え、トランスポーターによる抗がん剤排出を促進していると思われる。 4.卵巣がん患者血清中の糖タンパクを糖ペプチドに分解し、その糖ペプチドを正常人血清中糖ペプチドと質量分析器を用いて比較解析することで、新たな卵巣癌に特異的な糖鎖腫瘍マーカーを発見した。ROC曲線にてCA125を上回る特性を有しており今後の臨床的な展開が期待される。現在特許申請であり論文投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画での、子宮頸癌における硫酸化糖脂質の機能、分泌期子宮内膜における硫酸化糖脂質の機能についての研究にやや遅れが見られる。1.頸部への正所移植モデルの作成が難しく再現性が得られないために機能検索までに至っていない。2.ヒト分泌期子宮内膜を得ることが困難である。以上がその理由である。しかし、全体としては順調に結果を得ることができていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、糖脂質の機能解析を進めるべくヌードラットを用いた正所子宮頸癌モデルを作成中である。すでにモデル作成には成功しているが、モデルの安定な作成に関しての条件確認を行っている。体癌あるいは頸癌において、より腺腔形成する腺癌(高分化型)において硫酸化糖脂質が強発現することが明らかになっていることから、安定したモデルラットに硫酸基転移酵素導入培養細胞株を移植することで硫酸化糖脂質の癌における生理機能の探索、それからの応用としての腺癌への分化誘導療法薬の開発に結び付き、迅速な研究の展開が期待される。また次に卵巣癌と同様に頸癌細胞株を用いて薬剤感受性を変化させうるin vivoでの実験をin vitroで発展させることで一層の臨床への結びつく可能性を秘めている。さらに新たに発見した卵巣癌糖鎖腫瘍マーカーの構造解析・機能解析・測定キット開発を行い臨床的なバリエーションを行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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