研究課題
目的:これまでに我々は卵巣明細胞腺癌でmTOR-HIF pathwayが特異的に亢進しており、この系の活性化が予後不良の一因であることを報告してきている。さらにmTOR阻害剤はこの系の活性化を抑制するばかりでなく様々な側面から抗腫瘍効果を有しており、明細胞腺癌治療への応用が期待されている。そこで、本研究ではType Iに比して予後不良であるType II体癌に主眼をおき、mTOR-HIF 関連因子の動態について検討したので報告する。材料・方法:当科においてインフォームドコンセントの得られた子宮体癌48例(類内膜腺癌(TEMA):21例、漿液性腺癌(TSEA):17例、明細胞腺癌(TCCA):10例を用いてmTOR-HIF 関連因子について免疫組織化学を施行し、臨床病理学的解析を行った。結果:TypeII体癌の全例で種々の程度のphospho-mTOR(p-mTOR)、HIF-1α、HDAC7の発現を認めた。とりわけ明細胞腺癌で高い傾向を認めたが有意な差は認められなかった。HDAC7の発現はheterogeneityな染色態度を示し、TSEA,TCCAともに細胞質に発現を認めたが、TCCAの1例では唯一、核・細胞質の両者に発現を認めた。考察:今回の検討から、TypeII体癌においては組織型の差に関わらず全例でmTOR-HIF pathwayの亢進が認められたことから、mTORの活性化がType II体癌の予後不良因子の一因であることが考えられた。また、HIF-1αが細胞質・核陽性でHDAC7強陽性症例は予後不良であったことから、予後因子としての可能性について、さらにはType Iとの比較についても今後引き続き検討を行っていく。
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