研究課題/領域番号 |
23592469
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
城田 京子 福岡大学, 医学部, 講師 (70441756)
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研究分担者 |
宮本 新吾 福岡大学, 医学部, 教授 (40209945)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / RCAS1 |
研究概要 |
(1)腹水中RCAS1をRCAS1 ELISA kit (Cusabio Biotech Co., LTD)で測定したところ、他の良性卵巣腫瘍の患者に比べ、子宮内膜症患者では有意に高値となっていることが明らかになった。(2)子宮内膜症組織をanti RCAS1 モノクローナル抗体 (MBL, Nagoya, Japan)を用いて免疫染色したところ、子宮内膜症上皮とマクロファージにRCAS1が強陽性であること、一方では、前述のように強陽性を示す症例と、まったく染色されない症例がいることが明らかになった。(1)(2)-2腹水中RCAS1が高値の症例では、免疫染色でも強陽性である傾向が認められたが、症例を追加して検討中である。(1)-3手術時に子宮内膜症患者の病変の部位と程度をR-AFS(Revised American FertilitySociety)分類を用いてスコアー化し、病巣の重症度と腹水中RCAS1の関連をみると、重症な患者ほど腹水中RCAS1が高値である傾向が認められたため、これも症例を追加して検討中である。(3)子宮内膜症組織におけるRCAS1の発現については、検体を収集し、RNAを抽出中である。(4)RCAS1の子宮内膜症性嚢胞の間質細胞に対する瘢痕形成作用を検討するために、子宮内膜症性嚢胞から間質細胞を単離して、瘢痕化のモデルとなるコラーゲンゲル3次元培養を行った。RCAS1を添加することで、ゲルの収縮率が促進されることを確認し、ゲル内の細胞が形態的に変化して、線維芽細胞の突起様構造を多く認めることも明らかになった。 現在はゲル内の細胞からRNAを抽出し、発現アレイなどを用いて、このような現象を引き起こすメカニズムを検索中です。 23年度はRCAS1と子宮内膜症の関連について、臨床的裏付けを重ねてきたので、次年度は基礎的研究で治療標的分子としての検討を進めるつもりです。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に書いた、23年度の内容は、おおむね順調に進んでいる。連携研究者によるRCAS1に対する特異的阻害薬の同定が、やや遅れているが、今後挽回できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
発現アレイで、子宮内膜症間質細胞の線維化に関わるシグナル伝達分子の候補をいくつかに絞り、阻害実験などで、その作用をin vitro解析していく予定である。また、子宮内膜症がその発生に深く関わるとされる、卵巣明細胞癌の組織を収集しているので、上述のシグナル伝達分子と癌発生の関連性についても検討する予定である。連携研究者によるRCAS1に対する特異的阻害薬の同定がされた時点で、これを用いてin vitro, in vivoの実験を推進してゆく計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
アレイに最も実験費を必要とするものと考えられるので、綿密な計画を立てて、研究費不足に陥らないようにする所存です。
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