研究課題/領域番号 |
23592471
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 吉也 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (30422116)
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研究分担者 |
山口 壹範 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 主任研究員 (80373215)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / がん幹細胞 / 表面マーカー / 免疫不全マウス / フローサイトメトリー |
研究概要 |
卵巣癌がしばしば示す治療抵抗性獲得機構には癌幹細胞が関与している事が最近の研究で明らかとなってきた。本研究ではフローサイトメトリーFACSAriaIIによる細胞分取法と超免疫不全マウス(NOGマウス)による腫瘍in vivo assay法を活用し卵巣癌幹細胞に特異的なマーカーの同定を目指した。我々は卵巣癌の中でも特に予後不良な卵巣明細胞腺癌に注目し、同癌由来細胞株および新鮮臨床検体を用いた機能的スクリーニングを行い卵巣明細胞腺癌特異的マーカー分子同定を目指した。さらに、宮城県立がんセンターが設立した全国的にもユニークなTissue Bankを活用し、将来の分子標的治療薬の開発および臨床応用へと橋渡しすることを最終目的とした。平成23年度は研究計画1として、卵巣明細胞腺癌に特異的に発現する癌幹細胞マーカーを同定するために、卵巣明細胞腺癌株(4種)およびコントロール用に他組織型卵巣癌株(5種)を用い、各種癌幹細胞マーカーの発現を(1)FACS AriaIIを用いて発現解析、比較検討を行い、これらの中から癌幹細胞マーカー候補を検索した。その後幹細胞の性質の有無を、(2)Sphere colony assay(3)NOGマウス接種により確認した。特にES2細胞とTOV21GがNOGマウス接種後に非常に強い腫瘍増職能を示した事から、我々はこの二つの細胞株を用いて、いくつかの卵巣がん幹細胞マーカー候補分子を目印にしてさらに分画し、NOGマウスに接種を行った。なかでもEpCAM(+)とEpCAM(-)で分画した場合、EpCAM(-)分画の方が高い腫瘍増職能傾向を示したことから、現在この分子に注目している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の鈴木が平成24年4月1日付で宮城県立がんセンターより東北大学病院に異動した事、および3月11日におきた東日本大震災による甚大な被害のため、当初は全く研究が出来ない状況であったが、現在は90%程度まで復旧したことから、今後は計画計画の遅れを取り戻せると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、研究計画2である、臨床新鮮卵巣癌組織における候補分子マーカー発現強度を指標にしたセルソーティングおよびNOGマウスを用いた新鮮癌組織のin vivo生着実験を行う予定である。可能であれば、研究計画3.候補癌幹細胞マーカーに対するノックダウンsiRNA導入による機能解析まで到達したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、研究代表者の異動と東日本大震災の影響により、当初計画していた実験計画2が遅れたことにより生じたものであり、次年度以降に実施するフローサイトメトリー試薬、NOGマウス購入に必要な経費として、平成24年度請求額と合わせて使用する予定である。
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