研究課題
卵巣癌がしばしば示す治療抵抗性獲得機構には癌幹細胞が関与している事が最近の研究で明らかとなってきた。本研究ではフローサイトメトリーFACSAriaIIによる細胞分取法と超免疫不全マウス(NOGマウス)による腫瘍in vivo assay法を活用し卵巣癌幹細胞に特異的なマーカーの同定を目指した。我々は卵巣癌の中でも特に予後不良な卵巣明細胞腺癌に注目し、卵巣明細胞腺癌特異的マーカー分子同定を目指した。平成23年度は研究計画1として、卵巣明細胞腺癌に特異的に発現する癌幹細胞マーカーを同定するために、卵巣明細胞腺癌株(4種)およびコントロール用に他組織型卵巣癌株(5種)を用い、各種癌幹細胞マーカーの発現を①FACS AriaIIを用いて発現解析、比較検討を行い、これらの中から癌幹細胞マーカー候補を検索した。その後幹細胞の性質の有無を、②Sphere colony assay③NOGマウス接種により確認した。特にES2細胞とTOV21GがNOGマウス接種後に非常に強い腫瘍増職能を示した事から、我々はこの二つの細胞株を用いて、いくつかの卵巣がん幹細胞マーカー候補分子を目印にしてさらに分画し、NOGマウスに接種を行った。なかでもEpCAM(+)とEpCAM(-)で分画した場合、EpCAM(-)分画の方が高い腫瘍増殖傾向を示した。平成24年度は<研究計画3>候補癌幹細胞マーカーに対するEpCAMノックダウンsiRNA導入による機能解析を実行した。卵巣がん細胞株にドキシサイクリン誘導型のEpCAM遺伝子をレンチウイルスベクターにより導入しEpCAM遺伝子がドキシサイクリン投与により発現抑制される事を確認した。平成25年度はこの遺伝子導入細胞株を用いて成長曲線を調べた所、ドキシサイクリンでEpCAM発現抑制された細胞株が増殖抑制される事が明らかとなった。これらin vivoとin vitroでそれぞれ相反する結果となったがその作用機序については不明である。
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Cancer Sci
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