研究課題/領域番号 |
23592473
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小山 眞 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10465487)
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研究分担者 |
和田 仁 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111264)
村越 道生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70570901)
小林 俊光 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80133958)
宇佐美 真一 信州大学, 医学部, 教授 (10184996)
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キーワード | 耳科学 / 遺伝性難聴 / ペンドリン / Pendrin / タンパク質機能回復 |
研究概要 |
Pendrinは内耳に発現する膜タンパク質であり,遺伝子変異により難聴になることが知られている.我々の研究室では,サリチル酸がPendrin変異体の機能を回復させることを発見した.このことは,遺伝性難聴の治療の可能性を示唆している.しかし,その機能回復メカニズムは不明である.そこで,本研究では,Pendrin変異体の細胞膜移行過程を追い,Pendrin変異体の機能回復メカニズムの解明を目指している.このメカニズムが明らかになれば,遺伝性難聴治療のための薬剤の効果的投与方法および効果的時期を決定できる. 以前の研究により,日本人で報告されている10種類の変異Pendrinのうち,H723Rの変異を持った患者が最も多く,このH723R変異体は細胞内に蓄積されることが明らかとなっている.また,このH723R変異体は,サリチル酸により細胞内から細胞膜に移行することがわかっており,細胞膜に移行すればイオン交換能を獲得し,野生型と同様に機能することも確認されている.しかしながら,サリチル酸には耳毒性があることが知られており,難聴の治療には,機能回復の効果を持つと同時に人体への影響が少ない薬剤の発見が必要となる. 本研究において,変異体H723Rを発現させたHEK293細胞に,サリチル酸およびサリチル酸と分子構造が類似した4種類のサリチル酸誘導体(サリゲニン,2,3-ジヒドロキシ安息香酸,2-ヒドロキシアセトフェノン,サリチル酸メチル)を投与し,1,3,6,12時間後のH723R変異体の細胞内局在を蛍光免疫染色法を用いて解析しところ,サリゲニンが最も迅速にPendrinの膜移行を促進することが分かった.また,サリチル酸が細胞増殖を抑制するのに比べ,サリゲニンは細胞増殖を抑制しないことが分かった.このことから,サリゲニンはH723Rの変異に対し,効果的薬剤となる可能性を示唆した.
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