研究課題/領域番号 |
23592474
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 幸士 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323548)
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研究分担者 |
柿木 章伸 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60243820)
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キーワード | 高脂血症薬 |
研究概要 |
In vitro実験系としてICRマウスの新生児(生後2~5日)から採取したコルチ器を用いた器官培養系で有毛細胞の障害の程度を評価した。アミノグリコシド系抗生剤として前年度ではゲンタマイシンを用いていたが、実験動物ごとの薬剤にたいする感受性の差が大きく、結果が安定しないため、先行研究がゲンタマイシンより多いネオマイシンを用いることにした。ローダミン・ファロイジン染色による評価ではネオマイシン1mMによる24時間培養により、ほぼ安定して外有毛細胞の1/2、内有毛細胞の1/4の障害が惹起されることが判明した。 非スタチン系の高脂血症剤としてプロブコールの有毛細胞障害抑制効果を検討した。プロブコールの濃度を変化させて検討したところ容量依存性に有毛細胞保護効果があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
プロブコールによる有細胞保護効果の存在は判明したが、その作用機序まで明らかにするためには上流の経路の解明が必要と考えられた。過去のさまざまな報告からアミノグリコシド系抗生剤による内耳毒性の機序として活性酸素の発生⇒MAPキナーゼカスケードの活性化(JNK・p38 MAP kinase・ERKのリン酸化)⇒アポトーシスの誘導が強く予想されるため抗リン酸化JNK・p38 MAP kinase・ERK抗体、抗活性化カスパーゼ抗体による蛍光免疫染色を試みた。培養24時間後ではいずれの抗体でも陽性染色は認められなかった。この理由としてこれらの分子の活性化は有毛細胞のアポトーシスよりも早期に生じているいる事が考えられ、培養6、12、18時間後の蝸牛において検討してみたが、未だ陽性染色を得られていない。各分子ごとの至適時期の決定に難儀しており、さらに細かく時間経過を追跡する必要があるためである。
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今後の研究の推進方策 |
培養時間をさらに細分して上述の分子の活性化の評価を継続する。さらにin vivo実験系においてもプロブコールの有毛細胞保護効果を検討し、至適濃度、至適投与間隔を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物、抗体、細胞培養液、培養メッシュなどの消耗品の購入に使用する予定である。
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