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2012 年度 実施状況報告書

ミトコンドリア―活性酸素系の蝸牛内ライブイメージング

研究課題

研究課題/領域番号 23592475
研究機関東京大学

研究代表者

吉川 弥生  東京大学, 医学部附属病院, その他 (00452350)

研究分担者 坂本 幸士  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323548)
キーワード耳科学 / 抗加齢医学 / 内耳 / 有毛細胞 / 難聴
研究概要

本研究は、蝸牛有毛細胞内のミトコンドリアで発生するフリーラジカル(活性酸素/ROS)について、in vivo・in situでの直接測定法を確立し、これをもとに感音難聴の本態解明につながるデータを得て、新たな治療薬を開発・臨床展開するための研究基盤を確立することが目的である。
1.蝸牛におけるlive ROSイメージング
モルモットの蝸牛にミトコンドリア電子伝達系酵素阻害剤であるアンチマイシンAを滴下し、活性酸素により蛍光を発する色素(HPFまたはAPF)を用いてフリーラジカルの組織内での発生を可視化する方法(インビボイメージング)を開発した。撮影には高速コンフォーカル顕微鏡Nikon A1Rを用い、得られたデータに対して3次元再構成を行った。また、同じシステムを用いて騒音負荷時の蝸牛内での活性酸素の発生および活性型ミトコンドリアの挙動を計測した。
a.高速コンフォーカル顕微鏡を用いた、ex vivo系での内耳活性酸素発生量可視化システムの確立(障害薬剤、最適蛍光色素の選定):高速コンフォーカル顕微鏡を用いた断層撮影により、有毛細胞・支持細胞のどの部分で活性酸素が発生しているのかを測定した。
b.in vivo イメージングへの応用(薬剤障害下での活性酸素・ミトコンドリア測定) :活性酸素発生剤としてミトコンドリア電子伝達系酵素複合体IIIの特異的阻害剤である Antimycin A およびアミノグリコシド系抗生物質として臨床でよく用いられるゲンタマイシンを用い、活性酸素の発生および活性型ミトコンドリアの計測を行った。活性型ミトコンドリアは薬剤障害により減少したが、減少幅は内有毛細胞よりも外有毛細胞に多い傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、蝸牛有毛細胞内のミトコンドリアで発生するフリーラジカル(活性酸素/ROS)について、in vivo・in situでの直接測定法を確立し、これをもとに感音難聴の本態解明につながるデータを得て、新たな治療薬を開発・臨床展開するための研究基盤を確立することにあった。
具体的に平成24年度に計画している研究項目は次のものであった。
①高速レーザー共焦点顕微鏡と特殊試薬を用いた、蝸牛内リアルタイム3次元活性酸素観察系の構築
②ミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウスを用いた、蝸牛内ミトコンドリア分布の経時的立体的観察
以上のうち①はおおむね順調に進展しており、更に蝸牛内活性型ミトコンドリアのリアルタイム計測も開始することができた。②に関してはミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウスの入手に事務手続き上の困難が生じているために遅れが見られるが、学内の研究倫理委員会・動物実験委員会の承認は得られており、ミトコンドリア計測系に関しては①で充分に確立しつつあるため一旦マウスが入手できれば研究は順調に発展するものと考えられる。

今後の研究の推進方策

研究計画②ミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウスを用いた、蝸牛内ミトコンドリア分布の経時的立体的観察
現在マウス入手中である。入手完了すれば、研究計画①で確立した蝸牛内ミトコンドリア分布リアルタイム観察を行う。
研究計画③ ①②を応用し、耳毒性薬剤投与後や遺伝性難聴など難聴モデル動物での活性酸素発生量の測定、内耳脆弱性の解析、さらに種々の抗酸化剤投与による予防・治療効果を測定し作用機序を解明。
耳毒性薬剤として、上記のアンチマイシンの他に、臨床現場で良く用いられるゲンタマイシンおよびシスプラチンによる活性酸素の発生・活性型ミトコンドリアの挙動を計測する。

次年度の研究費の使用計画

研究計画②ミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウスを用いた、蝸牛内ミトコンドリア分布の経時的立体的観察
ミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウスの飼育・遺伝子解析・系統維持に用いる。
研究計画③ ①②を応用し、耳毒性薬剤投与後や遺伝性難聴など難聴モデル動物での活性酸素発生量の測定、内耳脆弱性の解析、さらに種々の抗酸化剤投与による予防・治療効果を測定し作用機序を解明。
耳毒性薬剤・抗酸化剤の購入に使用。

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公開日: 2014-07-24  

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