研究課題/領域番号 |
23592476
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
戸叶 尚史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70334422)
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研究分担者 |
喜多村 健 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90010470)
吉川 欣亮 (財)東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (20280787)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | レプチン受容体 / 糖尿病 / 難聴 / 外有毛細胞 / PAS染色 / ストレプトゾトシン / 酸化障害 / 8-OHdG |
研究概要 |
糖尿病モデルマウスLeprdb/dbにおけるABRの解析では、ホモ接合体と野生型、ホモ接合体の聴覚域値に有意差は認められなかったが、DPOAEの解析においてホモ個体は野生型やヘテロ個体と比べてDPレベルは低い傾向にあった。内耳の形態学的解析ではホモ個体において外有毛細胞の細胞内に比較的大型のPAS染色陽性顆粒が認められたものの、血管条、内有毛細胞にPAS染色陽性顆粒は認められなかった。また、野生型、ヘテロ接合体の外有毛細胞にはPAS染色陽性細胞は認められなかった。また、これまで我々は非加齢性難聴マウスC3H/HeJ の個体の動毛においてレプチン受容体が強く発現することを報告した。以上より、Leprdb/dbにおける難聴の機序は、不動毛の形成異常、あるいは高血糖状態における細胞障害や末梢神経障害などの可能性が示唆された。 一方、Leprdb/dbは加齢性難聴モデルマウスC57BL/6系統がバックグラウンドにあるため、細胞障害に何らかの遺伝子による影響があることは否定できない。また可能であれば空腹時血糖値の異なる高血糖状態を作成することが理想である。そのため、我々はC3H/HeJに対してストレプトゾトシン(STZ)を投与することによって、膵臓を障害し、高血糖における非加齢性難聴系統の内耳機能障害モデルを作成した。STZは化学的に不安定な薬剤で、種により効果も異なるとされているが、我々の手技においては、総投与量250mg/kg・bwで空腹時血糖250-350mg/dL、総投与量350mg/kg・bwで550mg/dL以上の高血糖状態を作成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生後7日齢においてレプチンレセプター欠損マウスおよびコントロールの区別に関しては採取した血液を電気泳動により初年度に完結する予定であったが、バンドル間が狭いため困難であった。これに対しては清潔手技を徹底することにより解決可能な問題であると考える。一方、背景に難聴のない糖尿病モデルマウスの作成は予定以上に進展し血糖値の異なる糖尿病モデルマウスを作成することができた。総合的におおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
各種糖尿病モデルマウスに関して歪成分耳音響放射を中心とした他覚的聴覚検査および形態学的な解析を予定通り行う。なおグルタミン受容体染色を追加して各モデルマウス間の受容体数の減少や変性に対する解析を追加する。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度研究費は予定通りに使用し、当該研究費に関しては上記グルタミン酸受容体の一次抗体の購入に使用する。
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