研究課題/領域番号 |
23592476
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
戸叶 尚史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70334422)
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研究分担者 |
喜多村 健 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90010470)
吉川 欣亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 副参事研究員 (20280787)
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キーワード | レプチン受容体 / 糖尿病 / 難聴 / 外有毛細胞 / PAS染色 / ストレプトゾトシン / 酸化障害 / 8-OHdG |
研究概要 |
昨年度我々は、Leprdb/dbにおける難聴の機序が、不動毛の形成異常、あるいは高血糖状態における細胞障害や末梢神経障害などである可能性を示唆した。そのため、難聴素因のないマウス系統であるC3H/HeJを、濃度の異なるソトレプトゾトシンを投与することによって、程度の異なる2型糖尿病モデルマウスを作成したことを報告した。今年度、我々はこの系統において空腹時血糖が150mg/dL未満(A群)、150-550mg/dL(B群)、550mg/dL(C群)以上の3群に分類し、6、18、24、30、36週において、加齢性難聴モデルマウスC57BL/6系統(D群)をコントロールとして電気生理学的、形態学的な検討を行った。DPOAEに関してはD群が24週目から低下する傾向にあったのに対して、A群、B群、C群は正常であり、各群の音響放射に有意差を認めなかった。ABRに関してはA群、B群、C群、D群ともに5.6kHz、8kHz、12kHz、18kHz、24kHzにおいて聴覚閾値の上昇を認めなかった。形態学的な解析においては、各週齢のA群、B群、C群が基底回転を含む全周波数領域において、H-E染色におけるI型ラセン神経節細胞の減少あるいは、ファロイジンによる免疫染色における有毛細胞の脱落を認めなかったのに対して、D群においては24週齢以降のラセン神経節細胞の脱落及び有毛細胞数の減少を特に高周波数域に有意差を持って認めた。また、この間に、Fujitaらが加齢性難聴モデルC57BL/6J 系統を用いて、騒音負荷を行い糖尿病が騒音性難聴を来しやすいことを示唆した(Diabetes.11:2980-6,2012)。これらのことから、加齢性難聴の素因を持たない個体に対しては、高血糖単独では難聴が発現しにくいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年課題としていた電気泳動によるレセプター欠損マウスおよびコントロール個体の鑑別については株式会社クレアの協力により当施設内の研究室で行うことができた。レプチンレセプターの非加齢性難聴マウスへの組み替えについては現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は予定通り、主に成熟マウスにおける形態学的・電気生理学的な評価を行う。非加齢性難聴系統のレプチン受容体欠損モデルマウスを作成して動毛の、不動毛形成や聴力に与える影響を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者と連絡を密に取り、主に遺伝子組み換えのマウスの実験を継続する。今年度は昨年度、一昨年度に行った実験結果に対して積極的に対外発信してゆく。
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