研究課題/領域番号 |
23592480
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田浦 晶子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70515345)
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研究分担者 |
中川 隆之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50335270)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60425626)
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00532970)
戎 富美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70596197)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 内耳 / 遺伝子導入 / コンフォーカルマイクロエンドスコープ / カチオン化ポリマー / 穿孔パッチ法 |
研究概要 |
1) 標的細胞への導入効率改善:内耳有毛細胞への遺伝子導入は非常に困難であり、現時点では有毛細胞にターゲットを絞って導入する事は殆ど不可能である。そこで、aliveの状態で有毛細胞を同定する為にconfocal-micro -endoscopeを使用する。本年度はまず初めにconfocal-mico-endoscopeを用いて内耳の観察を行った。内耳組織としてはマウスの生後2日齢およびadultの側頭骨および前庭を4% PFAにて固定し、phalloidinで染色したものと、固定せずにFM1-43を取り込ませたものを用いた。内耳組織を確認同定するには固定する必要があったが、confocal micro endoscopeを用いれば、aliveな状態で内耳組織の観察が可能で、しかも有毛細胞の同定が可能であり、この手法が確立されれば応用範囲が広がることから、生理的な条件での内耳研究に非常に重要である。2) ベクターの安全性:遺伝子導入の安全性確保のためには、ベクターの安全性が必須である。そこで本研究では安全性が確立されたカチオン化ポリマーを用いて、電気生理学的手法である穿孔パッチ法を用いて遺伝子導入を行う。本年度は、遺伝子導入のために、カチオン化ポリマーを用いての予備実験を行った。カチオン化ポリマーとしてsugar fectを用いてGFPプラスミドの293細胞内および内耳前庭組織への導入を試みた。様々な濃度で至適導入効率を確認した。結果としては293細胞にはGFPは導入されたが、内耳前庭組織への導入は困難であったため、現在内耳有毛細胞に電気生理学的イオンフォレーシスを用いて、矩形波電流を流し、細胞内にプラスミドを流入させるセットアップを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1) 有毛細胞の同定は可能であったが、解像度の面で改良すべき点があると思われた。原因としては現在のconfocal endo-microscopeのworking distanceが短いことが挙げられる。2) カチオンかポリマーを用いてのGFP遺伝子導入は、結果として293細胞にはGFPは導入されたが、内耳前庭組織への導入は困難であった。組織では細胞が単離されていないので、タイトジャンクションなどの細胞間結合が障害となって導入されない可能性が高いと思われた。
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今後の研究の推進方策 |
1) confocal endo-microscopeの解像度を挙げるために、すでに脳内組織でされている至適条件を参考にして再度実験条件の至適化を行う。2)内耳有毛細胞でのイオンフォレーシス法を確立させる。具体的には2-3nAで、200msの矩形電流を1000回程度与えて、カチオン化ポリマーと結合した導入遺伝子の発現効率を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1) 動物実験と電気生理学的イオンフォレーシスのために、有毛細胞を明視かで確認するために、カメラの購入を予定している。また感覚毛の確認の為に、より高倍のレンズの購入を行う。2) 既存の電気生理セットでの刺激電流投与が有効に施行出来ない場合にはconstant current generatorを購入する必要がある。
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