研究課題/領域番号 |
23592480
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田浦 晶子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70515345)
|
研究分担者 |
中川 隆之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師(Lecture) (50335270)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教(Research Associate) (60425626)
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教(Research Associate) (00532970)
戎 富美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員(Researcher) (70596197)
|
キーワード | 遺伝子導入 / 有毛細胞 |
研究概要 |
1) 標的細胞への導入効率改善:内耳有毛細胞への遺伝子導入は非常に困難であり、現時点では有毛細胞にターゲットを絞って導入する事は殆ど不可能である。そこで、本年度は微分干渉観察にてaliveの状態で有毛細胞を同定して微小ガラス管にて遺伝子の導入を行った。この方法では有毛細胞への障害の程度は最小限に抑えられ、生理的な条件での内耳研究に非常に重要である。 2) ベクターの安全性:遺伝子導入の安全性確保のためには、ベクターの安全性が必須である。そこで本研究では安全性が確立されたカチオン化ポリマーを用いて、電気生理学的手法である穿孔パッチ法を用いて遺伝子導入を行う。本年度は、遺伝子導入のために、PEIを用いて細胞表面にプラスミドを含んだガラス管を接着させて陰圧をかけて死細胞膜に小穿孔を空けた。その後、微小矩形波電流を流し、有毛細胞内にプラスミドを導入した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
微小ガラス管を用いて強制的に有毛細胞に遺伝子を導入しても発現効率は予想以上に改善しなかった。分化した有毛細胞に遺伝子を導入することが重要であるが、遺伝子注入を行う際に有毛細胞自体の膨化が見られることもあり、細胞の脆弱性なども遺伝子導入が困難な一因として考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
分化した有毛細胞への遺伝子導入は非常に困難であったため、分化前の段階での遺伝子導入を予定している。ESや内耳前駆細胞などの段階で遺伝子導入を行い、それを有毛細胞へと分化させて導入遺伝子の機能について検討する。まず未分化細胞への遺伝子導入効率について検討する。その後、遺伝子導入した未分化細胞を有毛細胞へと分化させて導入遺伝子の機能的発現について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
内耳有毛細胞への遺伝子導入を目的に行っていたが、電気穿孔法や核内導入方法など様々な方法で行っても導入効率を上げることは困難であった。そのため、従来の分化した有毛細胞への遺伝子導入という発想自体を変更する必要があると考えられた。 遺伝子導入の標的を分化した有毛細胞から、分化する前の未分化な状態の細胞へ変更することにより、遺伝子導入が可能になると考えられる。直接的ではないが、発生分化過程での遺伝子導入効果を見ることが出来るので、この方法が確立されれば将来的にも非常に有用であると思われる。
|