研究課題
音響外傷性難聴における内耳細胞死のメカニズムを詳細に解明し、その結果に基づき治療へのアプローチを多角的に検討することが本研究の目的である。モルモット(ハートレー系、オス、8週齢:250-300g)を用いて、深麻酔下に断頭し、蝸牛を摘出した。その際、同時に血液も採取した。次に顕微鏡下に正円窓・卵円窓からマイクロピペットを用いて、内耳リンパ液を採取した。(1匹2耳より約5~10μl)採取した内耳リンパ液および血漿から水溶性代謝物を抽出し、フリーズドライ、誘導体化の過程を経て、最後にガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS-QP2010)にて代謝物を測定した。得られたデータは主成分分析にて内耳リンパ液に特異的な代謝物を検討した。内耳リンパ液と血漿代謝物組成の比較によりイノシトールやアスコルビン酸など計12種の代謝物組成が検出された。例えば今回検出されたアスコルビン酸には、フリーラジカルスカベンジャーとして音響外傷に対する内耳保護効果があることが報告されている これまでの報告では、聴覚機能(ABR)や内耳形態から内耳保護効果を証明してきたが、この手法を用いることで、直接内耳リンパ液内での代謝物の変化を調べ、統計学的に検討することが可能になると考える。本年度は、音響外傷モデル動物における、内耳障害後のリンパ液中の代謝物の変化を検討した。結果6種の代謝物の変動が認められた。今後はこれらの結果から、Metabolic pathwayを調べ、内耳障害におけるメカニズム解明、さらに治療薬開発への応用も可能と考える。
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Cancer Genomics & Proteomics.
巻: 10(5) ページ: 233-238